《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

付け入る隙があったのに静観してたら相手が復縁しちゃった、恋のドジっ子。

ぽちゃまに 7 (花とゆめコミックス)
平間 要(ひらま かなめ)
ぽちゃまに
第07巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★☆(5点)
 

すれ違いを残したまま、離ればなれになっていた紬と田上…。勉強合宿も終わり、なんとか仲直りをしようとするけど、なかなかうまく行かず…?そんな中、2人の出会いのきっかけとなった体育祭の季節がやってくる──。ほっこりラブコメ第7巻!

簡潔完結感想文

  • 戻らない距離感。プチ遠距離恋愛の合宿から帰っても距離は遠いまま。
  • 体育祭。交際1年記念。1年前と同じ行動を、1年前とは違う2人で。
  • 恋の終始。雨降って地固まった2人に対して、ぬかるみに はまる男。

黙な男たちは恋愛問題も長考する 7巻。

男性ってハッキリしないよね、と思った『7巻』。
ちょっと冷めた視線で見てみると、
いじいじ もじもじ してページを浪費しているだけに思える。

少女漫画に体当たり系の女性主人公が多いのは、
話がずっと動く利便性があるからなんだと分かった。

男性をメインに据えるとダメですね。
どうしても陰気な感じがしてしまう。
特に本書に出てくるような男性たちでは。


書は全8巻ながらページの使い方が贅沢だ。
今回の紬(つむぎ)と田上(たがみ)の喧嘩も丸々1巻使ったし、
檜山(ひやま)の紬への想いは、初登場の『3巻』から最終『8巻』まで熟成されていく。

これを丁寧に描いていると考えるか、過剰と考えるか。
私としては後者ですね。

それは今回の紬と田上の喧嘩中に、
檜山が何らかのアクションを起こさなかったことで強く思った。

終盤には2人の危機と三角関係が一挙に押し寄せる展開がクライマックスかと思いきや、
それぞれ別の問題として処理されてしまった。

2人の男性から紬がどちらを選ぶか、というベタだが王道の展開でも良かったのに、
紬はただ男性たちの都合に巻き込まれるだけ。
これによって より一層、男たちが陰陰滅滅と恋愛問題をこじらしているだけに映った。

慈愛の人・紬には、こうやって男たちの論理に巻き込まれる法しか なかったのかな。
あれだけ紬も悩んでいたのに、田上が勝手に距離を取って、
勝手にGoサインを出して、勝手に解決してしまった印象である。

不器用な紬が、1つずつしか問題に対処できない性格を作者が考慮したのかもしれない。


嘩したまま始まった3日間の合宿から帰ってきても気まずい2人。
打開策が思い浮かばないまま2週間が経過してしまう。

そこに田上が体育祭実行委員の仕事を任されたため、
辛うじて同じ時間を過ごしていた昼食も一緒に過ごさないことに決めた。

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正論で相手の反論を封じて、自分の思い通りの仲直りプランを進める田上。

1分でも多く勉強時間を確保するという名目だが、
同じ時間を過ごさないと、気持ちまで途切れてしまいそうな様子である。

この辺は、高校生カップルというよりも結婚5年目の夫婦みたいですよね。
新婚当初の取り決めが、なし崩し的に1つ、また1つ減っていく。
歩み寄る努力すら放棄したら、その先に何が待っているのか、
分かっているんだけど、向き合う覚悟も勇気も磨り減ってしまっていく感じ。


紬は身動きを封じられ、田上は自分を鍛錬し、
自分の定めた目標に向かって、今は我慢の時を過ごす。

…でも、それって田上の勝手な理論ですよね。
田上は体育祭を目標にしているらしいが、
一方的に期日を決め、一方的に解決へと進めてしまった。

精神世界にまで潜り込んで、これだけ話を引っ張ったのだから、
2人の歩み寄りや、笑って話し合う様子が見たかった。


れはきっと田上と同様に、
作者の中でも2人の交際が始まった体育祭から1年後に、
人物が逆になった構図を描こうとしたのだろう。

その狙いは分かるが、元に目的ありきな感じを受けるし、その分 間延びした。

最初から田上の一人相撲だったのだが、
それにしてもカタルシスの少ない解決に思えてならない。

これは紬を持ち上げるワッショイな作風も影響しているのかな。
ぽっちゃり に失敗はさせぬ、という不文律があるような気がした。
でも2人の問題なのだから2人とも反省すべき点があってしかるべきなのではないか。


それにしても本書は、
学生同士の交際にも口を出す風紀委員とか、
カップルの熱愛・破局を裏学校新聞で報道する情報屋とか昭和感が漂っている。
壁新聞の貼り出しなんてアナログの極致である。
(そして21世紀らしからぬプライバシーの侵害である)

良くも悪くも現代っ子って、もっとドライな気がする。
現代っ子じゃない私の勝手な推測ですが)

気になったのは禁句かと思われていた「デブ」や「デブ専」が、
手書きの台詞ながら登場したこと。

紬の親友・まみ と話をする田上に向かって、
破局報道のあった紬から早くも恋人を乗り換えたと揶揄する言葉の中で
デブ専やめたか?」「今度の女はデブじゃねぇ」との声が漏れ聞こえる。

これは作者が ぽっちゃりさんへの過剰な気遣いを緩めたからですかね。
序盤はぽっちゃり を傷つけまいとする配慮に溢れてましたもんね。
現実に即した ぽっちゃりさんへの風当たりを描く勇気を持っただろうか。


うして、これまで以上に優しくなった田上くん。
大きな変化は紬の考えを尊重できるようになったことでしょうか。

デート中=自分との時間でも、困っている人を優先してしまう彼女の性格を熟知し、
それに不満なく付き合うだけの自分に、器を広げることでなれたようです。

田上の成長したことは分かるんだけど、紬はこのままなのか?
ぽっちゃり愛されヒロインだから、これでいいのか?

檜山の再接近で田上との新しい関係がわかるのだろうか。

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偶然、恋人との幸せな時間を見てしまった檜山。あんたがヒロインだよッ!

そんな檜山くんは、田上といる時の紬の顔を見てしまう。
そこで自分には見せない顔を思い知らされる。

檜山の恋煩い(というか恋を自覚するまで)が長いですねぇー。

田上と別れたという憶測は檜山の耳にも入っていた(はず)。
そこに勝機を見出すことをしないのは、檜山の実直な性格で、
らしいといえばらしいのですが、少女漫画のクライマックスには相応しかったと少々残念。

なので、この後に檜山が行動を起こしても色々な意味で時すでに遅し。
蛇足としか思えない。

構成的にはこれで正解だったのだろうか、と疑問に思う。
檜山の恋情をこんなに丁寧に描いても、得るものが少ない。

受験も目前だし、
体育祭で全てを終わらせる算段でも良かったのではないか。

何度も書きますが、丁寧といえば丁寧過ぎる物語ですが、
後半戦が だれて間延びしていることを否定できない。

同じことを描くにしても、
全6巻、または7巻でまとめられたような気がする。


そして紬の友達・とも と誠司のフラグは何なんだろう。
友人の中で恋愛要素がない彼女にイベントを与えてあげたのだろうか。
最後まで何とも中途半端な扱いで、なくても良かったのではないかと思う。