《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

○月×日 先輩に恋人がいるの知ってて キスしちゃった! 私ってば大胆!(アラタの日記より)

コスプレ☆アニマル(4) (デザートコミックス)
栄羽 弥(さこう わたり)
コスプレ★アニマル
第04巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★(4点)
 

超ヒットシリーズ 日本中の女の子をアゲアゲにする最新刊!彼氏の親友とキス~!!リカ、元(ハジメ)にいえない秘密ができちゃった……!?アラタは元(ハジメ)が好きなんだよね!?なのに、なんであたしにアンナコトしたの……?不意打ちのキスに動揺するリカ。アラタ、ついに本気モード……!?

簡潔完結感想文

  • アラタ本気モード。本気でリカからヒロインの座を奪いに来ました。恋を体現するのは私よッ!
  • 邪魔者は排除。ヒーローのはずの元は風邪や遅刻で参戦不可能。後半はもっと露骨に遠ざけるよ☆
  • 学祭に合法的に潜入。いつまでもヒロイン気取りでコンテストに参加してんじゃねーぞ、ババア。

のヒロインは当て馬のアラタ君ということが判明する 4巻。

『4巻』はアラタ君は、好きな人に告白しようか どうか
ウジウジ悩んでいたかと思ったら、時には大胆な行動に出てしまい、
それでまた悩みが増えたりする思春期ど真ん中の制御不能な男の子。

あっという間に恋に落ちて、愛がフォーエバーな リカと元(はじめ)のカップルに対して、
恋する乙女のメンタルを持った最強の当て馬を用意することで、
物語に緊張感を保持させているのだろう。

出てくる言葉はキツめなのに、内心は乙女。
このギャップが、アラタの強み。


そうやって視点を置き換えて読まないと、『4巻』はなかなかキツい。
(『4巻』だけじゃなくて、これ以降もキツい)

だって1巻 丸ごとアラタがどれだけヘタレかを読ませられるんだもの。
『4巻』の開始時点から『4巻』の終了間際まで読み飛ばしても話の意味が通じるんだもの。

作者は何とか、元に風邪を引かせたり、学校を遅刻させたりと、
リカを何とか単身に持ち込むシチュエーションを作って、
そこでアラタに告白の機会を与えているんだけど、
もう驚くほど告白をしない。

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少女漫画では風邪は看病イベント。弱ってる彼を見れるし、優しい自分を演出できる。

正ヒロインの リカ よりもずっと乙女なアラタは、
時にリカと自分を騙す理論を構築して、真実から目を背ける。

一昔前の少女漫画なら「もう!アラタの意気地なし!」と
自室のベッドの上で自分を叱りつけている場面が入るところだ。

まぁ、そのヘタレ加減、自己嫌悪に陥っているアラタを想像するのも楽しいだろう。
ファンなら。

そう、早い段階から本書はファンの、ファンのための、ファンだけが楽しめる漫画になっている。


来なら、2人のイケメンに(しかも親友同士)言い寄られて困るのはヒロインのリカの役割。

ただし リカは色々とヒロインには向かない。

まずは性格が それほど内向的ではない。
元のことを好きすぎて、上手く意思が伝わらないなどの悩みは出てくるが、
アラタの突然のキスに、狼狽えるような性格では本来ないはずである。

しかも彼氏の元と別れる気配すらない絶対的な関係だから、あんまりドキドキしない。

それらの理由から急に深刻にリカ が悩んでいる場面に共感できにくい。

作者もドラマチックな言葉を選んで、
状況を演出しているけど、どうにも世界に入り込めない自分がいる。


そしてリカの年齢設定も問題だ。
彼氏の元、そしてアラタは17歳なのに対して リカは19歳。

男性に同時に言い寄られて困る、というには年齢差が気になるところ。

同級生か、年上の人に言い寄られるなら悩むのも無理ないかなと思えるが、
どうしても年齢的に主導権がリカにあるような気がしてならない。
アラタを断りづらい理由がないのだ。

しかも彼氏も同級生だから、比較対照するほどの違いが出ない。
ならば、元でいいじゃないか、という結論になりやすい。

女性読者からしてみれば夢のようなシチュエーションだが、
元を捨ててまで アラタに乗り換えるセールスポイントが見当たらない。


品の幅を広げるためか、
リカが元たちの高校に関わる場面が多いこの漫画。

だが、ここでも年齢が気になる。

最初は教育実習で(短大では高校の教員免許は取れないはずだが)、
今回も教育実習生が学祭の徹夜準備に参加する伝統、を持ち出して高校に入り込む。

以前も言ったが、現役の高校生と一緒にいると、10代であってもリカの年増ババア感が増す。

リカが学校でトラブルを巻き起こしても、ババアが現役生の邪魔をするな、と思ってしまう。

しかも学祭のコスプレコンテストにまでエントリーする始末。
(一応、友人の推薦で無理矢理、というエクスキューズがあるが)

ノリノリでコンテストを荒らすリカを見て、
あぁ、この人は自分が可愛いことを知っているな、と冷ややかな視線を送ってしまった。

リカって つくづく少女漫画的なヒロインには不向きですね。
性格的には嫌いじゃないし、面白い子だとは思うのですが。

どうせなら、リカがモテ続けるだけじゃなくて、
元を本気で好きな女性が登場して、その人と本気でバトルして欲しい。
リカは行動してこそ、リカだと思う。

しばらくは恋愛模様のドキドキは新ヒロイン・アラタに任せましょう。

ついに2歳年上の先輩に好きって言っちゃった!
どうしよう、今日はもう眠れないよ~。

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ノローグは リカではなく正ヒロイン・アラタの心情を表したもの。彼の方が乙女度が高い(笑)

あと年齢が気になると言えば、
高校生の元(とアラタ)が23時までバイトのシフトって あり得なくない…?

リカの教員免許のことといい、作者の いい加減さは いかがなものか。

そういう所を疎かにしていると、
イケメンが格好付けてるだけの漫画が描きたいのだと思われちゃうよ。