《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

僕に新しい妹が出来たので、今度はそちらに恋をする。旧 妹は親友にやる。

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青木 琴美(あおき ことみ)
僕は妹に恋をする(ぼくはいもうとにこいをする)
第08巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★(4点)
 

必死にこの恋を守ろうとする頼だったが、母親・咲はふたりの仲を疑いはじめていた。そんなある日、頼は咲が郁の同級生・森杏沙(あずさ)の父・裕吾と抱き合っているのを目撃してしまう。自分の父親は裕吾ではないかと疑う頼は…!?

簡潔完結感想文

  • 友華の奸計で郁が暴行の危機。妹を汚すものから守った頼は退学処分で元の木阿弥。
  • 頼が高校初登校で出会った森杏沙。その出会いが物語の歯車を回す。遠回りしました。
  • 母が自分たちの関係を疑うように、頼もまた母の過去を疑い始める。愛する妹はどっち⁉

書は「妹」たちが続々と増える恋愛シミュレーションゲームなのかもしれない 8巻。

遠距離恋愛編という引き延ばし工作が やっと終わり、
中学まで通っていた中高一貫校の学校に戻ってきた兄の頼(より)。

そうして初登校した高校で頼が出会ったのは、
頼たちの学校に高校から編入してきた森 杏沙(もり あずさ)という女生徒。

聞けば頼の両親と杏沙の父親は大学の同級生で親友。
更に母と杏沙の父親の ただならぬ雰囲気を目撃した頼は一つの予感を抱く。

もしかして森杏沙もまた妹なのではないか。
そして、この調子だと自分のことを「お兄ちゃん」と呼んでくれる妹が12人ぐらい出てくるのではないか…、と。
僕妹ハーレムの誕生も間近だッ!

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似てない双子と似ているクラスメイト。けど郁と森杏沙の顔が とても似ているから説得力に欠ける。

いうのは冗談ですが、最後の二行以外は本当のこと。

まずは頼の県外の学校退学事件から。

「オレが あの家を出たのは 郁のそばにいると すぐ両親にバレて一緒にいられなくなる」から、
という理由で家を出た割に、早々に退学処分になる頼。

口だけ男の面目躍如という感じですね。

というか、そもそも頼が郁と恋愛関係に陥らなければ良かったのだ。
県外の学校進学を決めたのに、別離の直前に手を出すから ややこしくなる。
言動不一致で、マッチポンプなのに悩んでいる振りをするから手に負えない。

これまで不明だった作中の時間経過は「たった2か月らしい」。
2か月間で何回会ったんでしょうかね。

『4巻』での頼の誕生日、
『5巻』での制服デート&寮潜入、
『6巻』での頼の帰省、
『7巻』で矢野に連れてこられた郁、の計4回でしょうか。

2週間に1回は会っており、そして問題を起こしてる訳か。
そして、ちゃんと1巻に1度は逢瀬の場面を作ってるのが作為的ですよね。

強硬手段を取り、男子生徒に郁を暴行させようとした友華(ともか)は策士策に溺れて、
一人、県外の学校に取り残されることになりました。

想いを寄せる頼と同じ学校に通うために、親の事業を拡大させわざわざ転校してきた 元カノ・友華。
ここは友華の自滅でしたね。

矢野も友華を殴ったりせずに、穏便かつ確実に友華を消すぐらいの活躍を見せて欲しかった。
そして友華のことだから、ちゃんと心を折らないと、
なんやかんや理由をつけて再度、元の学校に復学してきそうである(しなかったけど)。

本当に蛇足でしかなかった遠距離恋愛編がようやく終わりました。
離れることで募る切なさを描きたかったのでしょうが、
頻繁に問題を起こしてばかりで、彼らの幼稚さしか読み取れませんでした。

収穫はスピンオフ漫画の元ネタが出来たことぐらいでしょうか。


盤からは、閑話休題という感じで、頼と郁の結城家の真実に切り込む展開が始まる。

前述の通り、森杏沙との出会いが、2人の大人の男女の再会を促す。
それが、頼たちの母と、杏沙の父親である。

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元同級生の親たち3人と、現在 同級生の頼たち3人。実らない恋と、許されない恋。

二家族が集まって催された会食。
だが その最中、頼は母と杏沙の父親との ただならぬ関係を目撃する。

そこで再燃するのが、伏線として張ってあった頼と郁との血縁問題。
何らかの理由で自分たちは双子として育てられたが、真の兄妹ではないのではないか、
頼にとって複雑なこの状況を確かめるため、彼は調査を始める。

ここはミスリーディング、というか一定の方向(郁が実の妹ではない)に誤誘導させようとしている。

それによって頼に希望と、新たな葛藤が生まれる苦悩を描きたいのだろうが、それがどうも中途半端。
頼は「郁が結城家の子供じゃないかもしれない」
「大切にしていた家族の繋がりをなくしてしまう残酷なだけの出来事」と苦悩するが、
ある日突然、兄から性的暴行を受けることも同等か、
それ以上に残酷な出来事だと冷めた目で考えてしまう。

そもそも おバカな郁なら家族の絆よりも、頼の恋人を選ぶと思う。
頼だって本当なら喜びが感情の全てを占めるだろうに、家族としての仮面で自分を欺瞞している。

そういう禁忌の関係を やや安直に結んだ割に、
今更、家族の絆を持ち出しても説得力に欠ける。

また母の過去に後ろめたいものがあるのなら、
一層、頼と郁を近づけないと思うが、
広い家で16歳の今まで同室にしたりと不自然な点が出てくる。

本書として同室にするメリットは何なんでしょうか。
ドキドキの演出、そして好きな人との同居感が出るのだろうか。

また部屋を別にしちゃうと、頼が郁に いたずらをする場面に変態感が出てしまいそうだ。
ガチャリとドアが開くたびに身を固くする郁。
家族間の性的暴行が一層 如実になってしまいますね。


構図として面白いのは、2人目の妹候補の杏沙に頼がただならぬ興味を抱いていることを郁が心配している場面。
妹かもしれない杏沙と、妹じゃないかもしれない郁。
頼がまるで杏沙に恋をしているようで、そんな状況にヤキモキする郁。

「僕は妹に恋をする」という題名で、新たな妹にも恋をして妹たちとの三角関係になったりしたら、
さすがに読者は離れていくのだろうか。


去に何かあった、母と向こうの父親。
森杏沙の父親は、母が妊娠したことを知ってすぐに婚約者と籍を入れたらしい。
そして、すぐにあちらも懐妊し、子供たちは同級生となった。

頼たちが4月生まれなのも、後追いでもどうにか同学年になれるという計算があってのことですかね。
森杏沙は早生まれの可能性が高いですね。

ネタバレにもなりかねない記述になりますが、
なんとも受精率の高い物語である。

ちなみに両親たちは39歳前後。
まだまだ新しい命が生まれてもおかしくない年齢である。

そして誕生するのはもちろん妹だろう。
新しい妹に僕は、また恋をするのだ…(気持ち悪い)。