《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

彼女の手を取ってダンスをした方から ご退場くださーい。その頬は赤く染まりませんでしたー。

金色のコルダ 14 (花とゆめコミックス)
呉 由姫(くれ ゆき)(原案:ルビー・バーティー
金色のコルダ(きんいろのこるだ)
第14巻評価:★★★(6点)
  総合評価:★★★☆(7点)
 

コンクール入賞を目指し、月森の指導で猛練習の香穂子☆ 体育祭中に土浦から「コンクールが終わったら話がある」と告げられる! そして迎えた文化祭、学内コンクール参加者全員の演奏や、その宣伝も兼ねた前日突撃ライブ、香穂子をめぐる後夜祭ダンスも花を添え…!?

簡潔完結感想文

  • 体育祭。私の手はヴァイオリンを弾くために、足は治療してもらうためにある。
  • 文化祭。コンクールメンバーとの最後の演奏、月森は学校での最後の演奏。
  • 後夜祭。本命じゃないほど気軽に踊れるという逆説。4名ほど お帰りでーす。

香穂子(かほこ)を巡る学内コンクールもいよいよ最終セレクション、の14巻。

月森(つきもり)の留学出発まではイベントが目白押し。
そういえばイベントと言えば、普通の少女漫画ならば高校2年生では修学旅行に行くことが多いけれど、本書ではさすがにありませんね。
同学年の3人(月森、土浦(つちうら)、加地(かじ))以外は、お留守番になってしまいますもんね。
でも、この巻以降なら修学旅行回があってもいいかもしれません。

なぜなら先輩・後輩たちはコンクールに落選したのだから…。
(あっ、でも普通科と音楽科では日程や行き先が違う可能性もあるか)


冒頭は体育祭から。
音楽科の生徒は自由参加なので火原(ひはら)、志水(しみず)、冬海(ふゆうみ)が参加中。
運動があまり得意じゃない柚木(ゆのき)と、練習熱心な月森は不参加。

柚木の運動の出来なさって、どの程度なんでしょうかね。
逆上がりが出来ない柚木、走り方のおかしい柚木、投球フォームが縮こまってる柚木、見たい!!

これって萌えでしょうか?
ダメ柚木もどこかで見てみたかったなぁ。
月森も「サッカー? ボールを足で蹴るだけだろ? したことはないが…」とか言いそうだ。

その体育祭で香穂子は冬海をかばって足を負傷。
ちょうど保健室にいた土浦に怪我の手当てをしてもらう。
これは分かりやすい月森との相似ですね。

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月森お坊っちゃん に恋愛指南をする 教育係の土浦。
月森の怪我の処置の話から、その日のサロンコンサートデートまで明け透けに報告する香穂子。
それを聞いて穏やかじゃない土浦は香穂子に告白予告めいた発言をする。
これは鈍感な香穂子でさえ、その可能性に言及するぐらいだから伝わっているだろう。
いよいよ恋愛も大詰めです。

そして、それを廊下で聞いている加地。
何を思うのでしょうか。
自分が追加キャラだという出遅れへの落胆でしょうか。
はたまた恋愛の「裏回し」役として物語が順調に進展していく満足感でしょうか。

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コンクールメンバーによる学園祭でのゲリラライブ(若干1名いませんが…)
文化祭はメンバー全員での発表が淡白な描写に終わってしまったのが残念でしたね。
そこに重点を置けないのは構成上仕方ないかもしれませんが、
学内コンクール以来の同じ舞台だったので、もう少し丁寧に深く描いて欲しかったところ。


そういえば土浦に月森とのことをわざわざ話す件といい、今巻の香穂子は割と魔性の女ですね。

加地に後夜祭でのダンスのお相手を申し込まれ、了解したすぐ後に、他の男(月森)のことを思い出している始末。
無意識・無邪気だからと許されていたことが、段々と許されなくなってきました。

てっきり、この後夜祭でのダンスは最後に誰が踊るのかという男たちの勝負だと思っていた。
「ラストダンスは私に」という感じで、最終的に本命の人と踊るの展開が待ち受けていると思いきや…。
(なので月森王子様のダンスが見られるのかと思ってた)


でも、これは違う意味でのラストダンスですね。
香穂子を巡るコンクール落選者たちとの お別れのダンス。

童話『シンデレラ』においてガラスの靴が自分の足にフィットするか次々と試す女性たちのように、
男性陣が次々と香穂子のお相手を務め、香穂子の手を取りダンスをすることで、香穂子の相手への気持ちが浮かび上がる仕掛け。
なんたって香穂子は本当に気持ちがフィットする人の手に触れると赤面しちゃうんだから(『13巻』参照)。

そして後夜祭で踊った人々では香穂子の頬は赤く染めることが出来ず、
どうやら逆に踊っていない土浦と月森が最終選考に残ったようです。
(この後の最終結果も既に見えている気もしますが…)


加えて 踊った順序が(あくまで)この漫画における香穂子的順位の低い方からと考えていいのかな?

志水 → 加地 → 火原 → そして柚木。

これは結構、当たっている推理ではないでしょうか。
マイペースが原因で恋愛アプローチと出番が少なかった志水、追加キャラの罠にはまった加地、
気は合うがお友達以上になれなかった火原、そして柚木。

柚木に関しては香穂子を照れさせているので、結構 惜しかったのかもしれませんね。
私も、香穂子モテモテ王国とは一線を画す、柚木の存在は かなり好きです。
一番、香穂子と丁々発止の会話している人で、何だかんだ良き相談相手になってくれています。
まぁ私はしつこく柚木にとって香穂子は恋のライバル説を推しますけどね(笑)

そういえば以前も漫画の感想文で、男性キャラの順位付けをしたことがあったなと思い返したら、
乙女ゲームの要素を採り入れた漫画、ぢゅん子 著『私がモテてどうすんだ』でした。
本命以外の順位も意外と気になるんですよね。もちろん全部 推測ですが。

そういえば月森お坊っちゃんの初体験シリーズ第6弾は「たこ焼き」でしたね。
見た目以上に中身が熱いことを 坊っちゃまが知っていればいいのですが…。

金色のコルダ2 特別編」…
吉羅(きら)理事と音楽の因縁のお話。
吉羅理事や加地くんは当たり前だけどメイン級のキャラクターデザイン。
けれど、その割に漫画ではサブ扱いなのでチグハグさに違和感が残る。

どうやらこの学校、巨大な負債があるみたい。
まさか「コルダ」シリーズの最終回は、皆さんがゲームやコンテンツに課金してくれなかったので学校運営が行き詰まり 閉校しますっていうエンディング…?
読者やプレイヤーのお金は、まさにお布施・寄付なわけですね。