b>北川 夕夏(きたがわ ゆか)
影野だって青春したい(かげのだってせいしゅんしたい)
第6巻評価:★★★☆(7点)
総合評価:★★☆(5点)
光永さんが初恋の人とおぼしき女の子と抱きあっているところを目撃してしまった影野。光永さんの幸せを一番に願う影野が選んだ道とは!?さらに、光永さんmeets影野ファミリーで大波乱!こじらせの果てに待っていたものは×××で……愛と妄想のこじらせ暴走ラブコメ、笑って泣けてキュンキュンしちゃう第6巻☆
簡潔完結感想文
『5巻』のラストから続く光永の同窓会回。
光永が小学校の卒業アルバムに挟んでいた一枚の写真。
そこには同級生の女子と写真に納まる光永の姿が。
そしてその写真を見つけてから光永は慌てるような態度を取り、影野はその子こそ光永の初恋の人だと推測する。
そして更に駅でその写真の女性と光永が抱き合っている現場まで目撃してしまった影野は、近づいてきた同窓会に複雑な思いを抱き…。
光永への疑惑を抱えてからの影野の心と身体の動きが良いですね。
家の掃除をすることで現実逃避をして、でも逃げ切れないと知って落ち込む。
光永がやはり同窓会に行くことに衝撃を受けてからは、あの手この手で逃げ回る。
でも、どこにも誰からも逃げ切れないのが影野、ほどなくして光永に捕まる。
光永の熱い抱擁に彼を失うことの恐怖を知った影野だが、ある決意を固める…。この回は影野の精神が肉体を凌駕しているため、驚異的な身体能力の向上が見られる。
助けた亀の話とか、もう現実すらも凌駕していて、物語の全てが夢オチじゃないかと疑ったほどだ。
この話も含め6巻では他人の悪意がなく、影野の心の葛藤や動揺も本人の話に終始しているので、影野の奇天烈な行動に素直に笑えて、そして光永との別れの予感に素直に物悲しくなる。
『影野』の理想的な巻。
影野が決めた二人の道は、誰よりも光永を強く想うという気持ちと少しも矛盾していない。
彼の幸せが自分と共になかったとしても、影野は逆恨みなどネガティブな感情を心に生じさせることなく、彼の背中を押す決意をしている。
読者もここまで二人の確かな関係に寄り添っているから、この影野の行動を立派と称えながらも、遣る瀬無い気持ちになる。
影野家ご挨拶回は、影野父がいい味を出している。
娘と似て卑屈でありながら、それでいて強引で、光永を自分の意のままに動かすことに成功している。これこそ逃れられない影野遺伝子のなせる業か、もう光永は巻き込まれるしかないようだ。
ちなみに彼は影野親子それぞれから飲み物を頭にこぼされてる。
(少女漫画では彼女の家で何かをこぼされて彼氏が入浴することが多すぎる!)
影野家と一緒にいると幸せにはなるだろうけど、同じぐらいの不幸も降りかかってくる予感もする。
頑張れ、光永。
続く遊園地デート回はそんな光永のご褒美か。
しかし光永、観覧車に乗るとキスがしたくなるのか?君の理想なのか? 2回目である。
相変わらず影野の容姿はデフォルメ多めなので、光永親子の遊園地デーかと思う場面も多い。
そこが残念だけれど、彼らは互いの存在に感謝してることを、そしてこれまでの光永の包容力もよく知っているので、クライマックスはとても幸せな一場面だ。
なんだか2回目の最終回みたい。
…続きますが。全168ページ。どうして講談社の漫画はこんなにページが少ないのでしょうか。