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九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

通りがかりに漏れ聞いた一言だけを頼りに、推論を展開し、殺人事件の犯人を指摘したニッキイ・ウェルト教授! 純粋な推理だけを武器に、些細な手がかりから、難事件を鮮やかに解きあかし、次々と解決していく教授の活躍。MWA受賞作家の手になる、本格推理小説のエッセンスとも言うべき珠玉の八短篇を収録!


今や古典的名作の域に入っている「九マイルは遠すぎる」。存在はかなり前から知っていたんですが、この度やっと読了。内容は作者が序文で書いている通り、まわり道無しの直球推理小説。いささか直球過ぎて牽強付会な所もなくはないけれど、短編特有のコペルニクス的回転をたくさん読めてよかった。安楽椅子探偵の金字塔ですね。

  • 「九マイルは遠すぎる」…表題作。「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となるとなおさらだ」という言葉から、ニッキィが推理するものは…。推理って妄想に近似しているなと思いました。15ページほどの作品なので最後の展開が速い。急に終わってビックリしました。確かにスマートでシャープな作品だ。
  • 「わらの男」…悠々自適に暮らす元医者のもとに脅迫状が届けられた、その脅迫状に残された指紋の意味するところは…。フェアフィールド郡はのどかな町との描写があるにもかかわらず、次々に事件は起きます。この作品全体への突っ込みは町の人と大学関係者が多く死んでいるところ。展開がワンパターン?
  • 「10時の学者」…学位論文試験会場に候補者は現れなかった、なぜなら彼は殺されていたから…。またまた大学で起こる事件。段々、事件も普通のものになっているし、解決法も単なる推理小説に過ぎなくなってくるような…。もっと鋭利な推理を予想していたのに。「ワトソン君」の推理はなぜその方向にいくのか!?
  • 「エンドプレイ」…また大学教授が殺された。殺したのは家の前でたたずんでいたことが確認されている男なのか…?何人殺されればいいのか、大学関係者よ。気味悪いよ、そんな大学(笑)作者の1作の制作期間が長いからなのからか、いつも同じです。続けて読むと食傷気味。今回は小道具をうまく使ってます。
  • 「時計を二つ持つ男」…呪いで人を殺すことはできるのか、という今でも頻繁に使われている推理小説の命題。推理小説では絶対呪いだったという結論はないですね。というか読者が許さないだろう。今回も理にかなった推理で真相を導き出しています。条件反射というか人間の性の話は面白かった。
  • 「おしゃべり湯沸かし」…相部屋生活している男の手紙を、彼の不在時にその同居人に渡すと、その後湯沸かし器が鳴った。同居人は湯を沸かすことはこれまで一度もなかったのに、ナゼ…?長い紹介になりましたが、この話好きです。やっと「九マイル〜」のような鋭い推理に戻ったように感じられました。
  • 「ありふれた事件」…大吹雪の日に殺した男の死体を犯人はなぜ遠くに捨てず、また自らも逃走せずに、雪の中に放ったのか…?バラバラのパズルを一枚の完成品にするとこういうことになるのか、と膝を打った解決。普通の解決のプロセスだが、ミステリとして面白かった、かなり好きな一編です。
  • 「梯子の上の男」…屋根の上にアンテナをつけようとしていた男が、梯子から落ちて死んだ。事故か他殺か…?トリックに使われていた小道具(セット)を知らなかったので想像つかず、真相を聞いてもあまり分かりませんでした。殺害方法の小道具は少し露骨に紹介されていたので、さすがに分かってしまいましたが。

九マイルは遠すぎるきゅうマイルはとおすぎる   読了日:2004年08月05日