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モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)

モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)

この旅が、青年ゲバラの未来を変えた…。23歳のゲバラは、親友と共に中古のバイクに乗って南米大陸縦断の旅に出た。それは金も、泊まるあてもなく、好奇心のままに1000キロを走破する無鉄砲な計画だった。


2005年のマイベスト映画に輝いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」の原作本。いくつか映画に出てくるエピソードも出てくるけれど、映画の脚本にはやっぱり若干の誇張や改編がされているのが分かる。映画はゲバラを主人公に、そして後の革命家だという事を全面に押し出しているので、仕方がないとも思うが。 映画は映像が綺麗で、よく構成されていて見ていて胸躍ったので好評価は変わらない。全く別のモノでも無いけど、別個に評価するべきなのだろう。
旅行記の前の「以下のことをご了承ください」に書かれている通り、この本は基本的に医学生であったゲバラ旅行記であって「人を感動させるような偉業の話」ではない。ただ、やっぱり後の「ゲバラ」の手記であることは重要で、ゲバラはこの旅があったからこそ後の人生の道を歩むようになったのだ。 私を一番魅了したのは旅の珍道中や行程の厳しさでもなく文章の上手さと考察の深さとユーモアである。私はもちろん日本語訳で読んだので原文での評価は出来ないけれど、日本語訳でも非常に面白い比喩や表現がされているな、と感心した。外国の人特有ということもあるだろうが。 どんなに大変な状況に陥っても、ちょっとしたイタズラがあり文章にも常にユーモアが入っていて読んでいて楽しかった。そして教養の深さに驚く。少なくとも私はこんなに物を知らない…。ユーモアと教養が入り混じったとても刺激的な文章だった。映画を見た後と同じく、やっぱり旅もいいなと思った。
そして、やっぱり映画を見た後と同じく、旅するゲバラとアルベルトは「電波少年」の猿岩石や朋友(パンヤオ)のようにも思えてならなかった(笑)貧乏旅行はヒッチハイクする。いつの時代も変わらない光景なのかもしれない。

モーターサイクル・ダイアリーズ   読了日:2005年12月31日