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詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!


森さんのミステリの中でアイドル(男ですが)が出てくるとは思いませんでした。作中に芸能人を登場させるようなタイプだとは思わなかった。事実、森さんは私生活ではTVをほとんど見ないらしい。どこかに、時間に対して得られる情報量が少なすぎる、と。本の方がよっぽど効率的に吸収できる手段だ、とおっしゃっていました。確かに民放のゴールデン枠は情報が無いに等しい番組もありますからね。バラエティ番組は情報性よりも笑うという目的もありますが。
TVの話はいいんですね…。今回は歌詞になぞらえたように殺人が起こるというもの。よく知らないのに、横溝正史か!とツッコんでみる…。解決までの力みがないだけで、完璧な推理小説です。ちょっとエキセントリックな作品だと思う。この作品は解決までの過程が面白いです。犀川先生が犯人を臭わせるセリフが洒落ていました。なるほど、あんな風に聞く方法もあるものか、と。森さんは人の先入観や思い込みを上手く利用される方だなと、どの作品においても心地良い裏切りとともに思わされます。多くの人の思考をトレースできるのだと思います。私の犀川先生の好きな所は犯人が誰であろうと構わない雰囲気の所。自らの研究のため・生活のため・しゃしゃり出るタイプと探偵には色々と理由がありますが、犀川先生の気だるい真相究明はやっぱり好きです。萌絵さんのラスト近くの「ミステリィツアー」というのは『まどろみ消去』の中の話だろうか。物好きですよね、萌絵さんも。ちなみに「創平」と「萌絵」は森さんのお子さんの名前だとか。意外に子煩悩なのか? 「トーマ」は愛犬の名前。本当は漢字で「都馬」。やっぱり洒落てる名前だ。

詩的私的ジャックしてきしてきジャック   読了日:2001年12月02日