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六人の超音波科学者 (講談社文庫)

六人の超音波科学者 (講談社文庫)

閉ざされた研究所で発見される死体……。土井超音波研究所、山中深くに位置し橋によってのみ外界と接する、隔絶された場所。所内で開かれたパーティに紅子と阿漕荘の面々が出席中、死体が発見される。爆破予告を警察に送った何者かは橋を爆破、現場は完全な陸の孤島と化す。真相究明に乗り出す紅子の怜悧な論理。美しいロジック溢れる推理長編!


Vシリーズ7作目。S&Mシリーズで言えば『夏のレプリカ』。2つの作品の共通点は何だろう?実はあまり見つけられなかった。『夏の〜』でも本書でも出てくる物のキーワードは「仮面」であろう。本書では土井博士が仮面に車椅子という一昔前のミステリさながらに登場する。もう一つは事件の真相だろうか? これは下のネタバレ反転で言及します。事件の真相(トリックの方が適当か)は至って普通である。タイトルに科学者とあるが科学知識も必要ない。正統派ミステリといえるだろう。真相へのプロセスや行動原理が森博嗣らしい。今回は紅子らのピンチが私の中での最大の読み所。特にあの人のピンチには、好きだから更に驚いた。ここも『夏の〜』共通点なんだろうか?『夏の〜』でも監禁?睡眠薬があったので…。関連性だけを追及しても深読みってだけで的外れの事もあるでしょうけど。もう一つ共通点を出せば「犬」かな?『夏の〜』では杜萌の犬、今回の紅子の回想でも犬が出てくる。過去の悲しみのキーワードとして犬が登場する所が同じだろう。
森さんによると、本書1冊丸々が後の作品のための作品といえる作品らしい。これは後の作品を読んでいけば分かります。今回、練ちゃんが研究所に招待された訳とも関連して、更に大きな事件となっております。今回は七夏と紅子のシーンが多かった。七夏は描写が多いと彼女の心中の悩みや動きが分かって好きになってくる。練無くんとの会話が一番好き。練無くんは七夏の前では完全に男に見える。
※真相以外にも言及してるのでシリーズ未読の方は見ないのが賢明です。
(ネタバレ反転→)やはり「夏の〜」との最大の共通点は、内部犯、全てが仕組まれていた事という点であろうか。2作とも劇団のように一体となった犯人たちが協力して外部犯の可能性や間違った真相へ誘導している。事件の骨格はとても似ている。さて、Vシリーズの時間軸がどこに設定されているのかは、紅子や今回の博士たちの研究内容で分かるのだろうか?と、ふと思った。作中に出てくる音声認識やCTスキャンみたいな物も、現在では特別な物ではないだろうし。今までも紅子の言及する科学の問題はハード的なことだし、今回の「テレックス」なんてのも伏線だろうか。気づく人は気づくような描写なのだろうが、いかんせんビデオの仕組みも分からない私は見事にチンプンカンプンなのであるけれど…。(←)

六人の超音波科学者ろくにんのちょうおんぱかがくしゃ   読了日:2001年09月27日