- 作者: 森博嗣,山田章博
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07/14
- メディア: 文庫
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大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。ビルの屋上に案内された参加者たちは、離れた建物の屋上で、三十人のインディアンが踊っているのを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口には見張りが立てられていたというのに!参加者たちはこの謎を解くことができるか!?(「誰もいなくなった」)著者初の、そして森ミステリィのエッセンスが全て詰まった全編書き下ろし短編集。
短篇全部がミステリだと思ってたので少々期待(思い込み)外れ。広義にはミステリでしょうが、S&Mシリーズを念頭に置くと失敗します。森博嗣の本だし萌絵さんと犀川さんの活躍が見れるのならば、とも思いますが出てくるのは11編中2つだけ…。中には(私には)ちょっと理解不可能な短篇もあったりで読後感はいまいち。森作品は短篇はギアチェンジして挑んだ方がいいようです。短篇は1日で全部読もうとせずに何日に分けた方がいいですね。これは他のミステリ短編集にもいえる事で後半になると飽きたり、展開が似たりするので1篇の価値を下げますので。
長くなるので各短篇のあらすじは省略して感想だけ書き連ねます。
- 「虚空の黙祷者」…出だしはミステリっぽいけれど本格的な謎解きは無し。信じられない偶然もミステリじゃないので目を瞑るのが賢い選択。
- 「純白の女」…森さんの短篇ってこの手のオチ多くないですか?真剣に読んだ後に徒労感だけが残るから嫌いです。でも多いんだよね、このオチ。
- 「彼女の迷宮」…後に出てくる「悩める刑事」に似ている。「世にも奇妙な物語」っぽいと思うのは失礼だろうか。でも、そんな感じ。
- 「真夜中の悲鳴」…これ好き。起こる事件はリアリティがないけれど、そんなのは付属品。本体は学生二人の会話と結末。かなり好きだな〜。
- 「やさしい恋人へ僕から」…のろけミステリ? 『工学部・水柿助教授の日常』の原型ではないか、と疑っている。どこまで作者自身の話なのだろうか?
- 「ミステリィ対戦の前夜」…やっと本丸。メタメタ? 他の人から見た萌絵さんってかなり我が儘なのだろうか。登場する小ネタ満載の小説が面白い。
- 「誰もいなくなった」…犀川先生がカッコいい。どこぞの名探偵もビックリの瞬時の謎解き。大学でこんな事やってみたいと思う人多いよね?
- 「何をするためにきたのか」…評価が下降線をたどったきっかけ。これはどう解釈するのが正しいのか?RPGなの?前半が伏線なのかね?
- 「悩める刑事」…これは騙された。先入観もあるけれどパーツの置き方が上手い。「彼女の迷宮」と同じで出されている謎の答えが知りたい。
- 「心の法則」…うーん。一番の謎作品。途中まではついていったつもりだったのですが、結局は迷子に…。私は理解を放棄します!
- 「キシマ先生の静かな生活」…変人キシマ先生の生活は見る人が見れば、純粋な生活であったのだ。でもやっぱり変人なんだと思うけど…。