《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

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カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。


死をテーマにしているのに、コメディ風味。このバランスの絶妙さに作者のセンスを感じる。とにかく文句なしに面白かった! カテゴリは児童文学だけど老若男女に読んで欲しい!!
罪を背負ったまま死んだ「ぼく」の精神は、自殺を試みた小林真という冴えない少年の身体に「ホームステイ」する事で活動を続ける。「ぼく」は自殺するまで至った小林真の不遇な人生を理解し始め、次第に真の孤独を誰よりも知っていく。まず、この構成がとても良い。無関係である「ぼく」ですら一度は真の人間関係に絶望しながらも、家庭・学校の問題を見つめ直し、「ぼく」は「ぼく」なりに前を向いていく。その過程の中での人との交流がとても温かかった。第三者の目を通せば、少しだけ距離を置けば、生前の小林真の「世界」は小林真が創り出した、ある意味で虚構の世界でしかなかった。現実って何だろう。きっと真の不幸は、精神が弱っていく中で、その精神にどこまでも引っ張られてしまった事だ。だから他人の精神のホームステイが、世界を、真とは違う見方で、真の強い味方として、変えていく。いや、変わったのは真だ。
後半は泣き通していました。人情・家族モノに弱い私。本書は何と言っても主題が良い。これは今後の私の人生の助けになるであろう言葉たちだ。そうなのだ、この世はカラフルなのだ。色々な人の思いに泣けるんだけれども、最後は爽やかな気持ちで読み終わる。この本を読んでいる最中の私の心は、次々と色を変えていきました。笑って泣ける、そして最後に笑える、そういう小説です。森絵都さんに1作品で夢中になりました。今でも十分に評判の本で、私もその評判に背中を押されて手に取りましたが、もっともっと色々な人に読んでほしい。過去に実写映画化もされた作品ですが、私はどこのレンタルショップでも見たことがない…。

カラフル   読了日:2004年04月11日