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おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)

おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)

親父が再婚するぅ? 突然のビッグニュースに福岡に単身赴任している父を訪ねた勝利。父と息子、男同士で過ごす夜、5歳年上のいとこ・かれんへの思いをはじめてうち明ける。まだまだ秘密にしなければならない恋だけど、少しだけ、前進。なのに美術教師のかれんには彼女に思いを寄せる同僚がいるし、大学生になった勝利は陸上部のマネージャーから告白されて。おおやけにできない恋ゆえの悩みが続く。


うーん、早くも飽きてきた。父親の展開はともかく、二人の気持ちの確認だけする展開には、「もう既にデジャヴ」を感じる。だからといって、肉体関係を安易に持ち出すのも、このシリーズの目的とする所ではないのも分かるのだが…。うーん。
そもそも1巻で終わらせる内容を続けているのだ。極端に悪く言えば水増ししている。だから仕方のない事だけど、後付けの設定や後日談が多くなる。例えば今回なら、かれんの誕生日とかクリスマスなどのイベント事の話。また勝利に高校時代を想起させたのは、今となっては女性教師と男子高校生という設定をもう少しやっても良かったのでは、という後悔の表れか、と勘繰ってみたり。
自分に自信が持てない勝利がかれんを力ずくで捻じ伏せる様子には、ちょっと怖さを感じた。勝利は人間として大きくなれなかったらDV男になりそうな気がする…。そういう独占欲と嫉妬心の大きさを感じた回だった。一途な男ほどストーカーにもなりやすそうだし、かれんが今後もし別れたくなったら余程、円滑に円満に話を進めないと厄介な事になりそう…(物語の性質上、別れないだろうが)。

  • 「WE'VE ONLY JUST BEGUN」…新しい家族へ会いに九州へ向かう勝利と同行のかれん。再婚相手と対面したその夜、勝利は父に…。世界が狭いなぁ。林真理子さん言う所の「半径1㌔以内小説」か。2人だけの狭い物語になる危険を回避したはずがむしろ狭まっている。お互い成長していく恋愛、ってのは理想だが…。
  • 「GOOD FOR YOU」…母校であり、かれんの職場の高校の文化祭を見学しに行った勝利ら一向。だが、勝利はそこで、かれんと中沢氏の距離を目の当たりにし嫉妬する…。あのクライマックスを敢えて書かないのは面白い手法だけど、勝利とかれんの仲違いとその原因はなんだかなぁと呆れた。これは、かれんの行動が謎過ぎないか? 遂に星野りつこが行動に出る。早くも役割を果たし、お役御免?

雪の降る音ゆきのふるおと   読了日:2007年01月18日