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おいしいコーヒーのいれ方 (5) 緑の午後 (集英社文庫)

おいしいコーヒーのいれ方 (5) 緑の午後 (集英社文庫)

5歳年上のいとこ、かれんと恋におちた大学生・勝利。そうとは知らず、勝利に思いをよせる星野りつ子。追いつめられた勝利は、ついに星野に「秘密の恋」をうち明ける。単身赴任していた勝利の父親も帰京し再婚、勝利の妹も誕生して、かれんとその弟の丈そして勝利の3人だけの生活が変わろうとしている。番外編、丈の恋物語も収録する好評シリーズ第5弾。


「おいしいコーヒー」のはずなのに段々とコーヒーが水っぽく不味くなってる…、と思うのは私だけではないだろう。波乱の予感・伏線はいっぱいあるのに、結局何も起きない。甘酸っぱい風味というより、冷めて生ぬるいコーヒー。
周囲の環境は変化するが、勝利とかれんの二人の関係はそのまま。相変わらずチュッチュチュッチュしているだけ(笑) 今回は星野りつ子がキーパーソンになるが、勝利のライバル・中沢氏は今回も存在感がない。哀れなり中沢…。
しかし今回、最も違和感を覚えたのは「文庫版あとがき」。戦争に対する村山さんの主張を否定はしないが、私は「社長のおじさん」の意見も言下に否定出来ないとも思う。それに何で「会社や社員を守る」と言ってる社長が、次には「弱者を切り捨てることを何とも思わないタイプ」になるんだろう…? この「あとがき」は自分の主張を突き通そうとせんが為に、全体的に根拠に欠け、理論的ではない。毎回思うが「あとがき」の彼女は中学生の青臭い作文みたいだ…。

  • 「DOES YOUR MOTHER KNOW」…かれんと仲直りした勝利は、自分に正直になるために星野りつ子と話す事に決める…。本書には番外編として丈の物語も入っているが、実は本書が丸ごと一冊、星野りつ子の物語ともいえる。
  • 「DON'T TELL ME YOU LOVE ME」…りつ子の変化に責任を感じ「友達」として付き合う勝利だが…。間もなく新しい季節、新しい局面が彼らを迎える。あれっ!? 前半で暗雲が立ち込め嵐を予感させながら、雨は降らないまま物語は終了…。あまり関係ないが勝利の父の、歳の差の再婚&パパは、父が長生きしないと最愛の人たちに最愛の人を喪う悲しみを味あわす事になってしまうと心配になる。
  • 「BRIDGE OVER TROUBLED WATER」…番外編。丈の視点で語られる回想、そして彼の恋…。(私には)何を考えているかわからない、かれんなんかより、動きのある星野りつ子や京子をヒロインにした方が小説として面白いかも…。

緑の午後みどりのごご   読了日:2007年02月23日