《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

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魔球 (講談社文庫)

魔球 (講談社文庫)

9回裏二死満塁、春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れて落ちる"魔球"を投げた。すべてはこの一球に込められていた…。捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られた。高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理。


東野さん初期の作品の秀作だと思います。推理小説であり、家族小説・青春小説であるという様々な要素を取り込んだ作品。主人公の須田兄弟の描写がいいですね。貧しい家庭と分かった上で必死に努力する兄弟。どの高校生よりも大人で孤独な兄弟をきちんと描いていると思います。こういう人たちに強く惹かれます、私。構成的には2つの事件が別々に起きる。その2つに繋がりはあるのか、というもの。読者の興味を引き立てる構成は、初期の頃から東野さんの特徴なんだな、とストーリーテラーとしての東野さんの実力に脱帽です。

※ネタバレなので読んだ方だけ反転して読んで下さい。
(ネタバレ:反転→) 結末や冒頭から描かれている兄弟愛は「手紙」に引き継がれますね。今回も切ない結末を迎えていますが、その結果が後の著書『手紙』ということになっている気がします。そう思うと、弟に実直に生きてほしいと言った兄の想いとは裏腹な結果を生み出してしまうのか、と更にやるせなさが増しました。(←)

魔球たいとる   読了日:2003年03月07日