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盤上の敵 (講談社文庫)

盤上の敵 (講談社文庫)

善と悪の戦いを描いた長編ミステリー問題作。 善と悪の戦い、強い者と弱い者、食う側と食われる側。そして、男性と女性。日本推理作家協会賞受賞作家が、世の中の二極対立を精緻な筆致で描いた長編ミステリー。
これからやるのがチェスだとすれば、まず駒組みを完成させなければならない。借り物は、すんだ。つまり、陣型は整った、というところか。だが、準備完了というわけではない。その前に、最も重要な大駒の配置をする必要がある。それが無理なら、この勝負は最初から投げ出すしかないのだ。


すごい!やっぱり北村さんはミステリの天才だ、と思った作品。2001年最初の読了本だったのですが、これは本当に幸先のいいスタートだと思いました。(実際「2001年」はミステリをたくさん読んだのでいい驚きに多々巡り合いました。)
閑話休題。全文、緊迫感があり面白く読めるのですが、特にラストの世界の配置の転換はすごい。今まで提供されていた世界がぐるりと回る感覚。鳥肌立ちました、本当に。ここまでの、人物描写、伏線が全ていきている。チェスというモチーフがはっきりと描き出されている。特に結末は身震いするほど。決して誰もが幸せだ、という結末ではないのですが、こうきたか!と膝をたたくような結末。
しかし北村さんには、初めて読んだミステリ「円紫さんと私シリーズ」 の印象が強いからか、どうも人間の悪意からは程遠いところにいる推理小説固定観念として持っているので、悪意ある人間が出てくるとビックリしますね。こういう人物も描くんだ、と。どちらの場合においても論理がしっかりしてる、驚かせてくれるというのは変わりませんけど。

盤上の敵ばんじょうのてき   読了日:2001年01月04日