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七回死んだ男 (講談社文庫)

七回死んだ男 (講談社文庫)

どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎(ふちがみれいじろう)老人。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは!時空の不条理を核にした、本格長編パズラー。


登場人物が特殊な能力をもつことから、ややこしい事件が起こるというのは初期から西澤さんの特徴となっている。この作品の他にも初期では、光の幕に入ると自分の複製ができる『複製症候群』が挙げられるだろうし、現在でも進行中の「チョーモンインシリーズ」もその中の一つ。これらは特殊な世界だからこそ起こりうる事件と、その驚くべき真相というのが醍醐味である。ただ特殊な世界だからこそ、条件付けが難解になり理解が止まってしまうということもある。 前述の「チョーモンインシリーズ」なんかは読んでいて、設定を理解できずに混乱したことしばしばである。
この作品はどうかというと、それほど混乱せずに読めました。ある1日が「反復落とし穴」にはまると、9回繰り返すという体質を持つ高校生が、繰り返しの日に死んでしまった祖父を、残りの8回の繰り返しの中でどうにか助けようとする、という要約すれば単純なストーリーなので純粋に楽しめました。何度やっても祖父を助けられないさまをコミカルに描いていて、ただ読んでいるだけでも楽しいのに、そこにミステリが加われば言うこと無しです。ただ名作だとの声が強すぎて、期待が大きく、圧倒的な結末を予想していたので、案外普通の真相に拍子抜けした感があります。が、このようなミステリを作ったのは、やっぱりすごい。圧倒的な論理が整然と存在してるって感じです。思わず膝をたたく推理は好きです。

七回死んだ男ななかいしんだおとこ   読了日:2003年10月22日