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人間は笑う葦である (文春文庫)

人間は笑う葦である (文春文庫)

笑えないものは何もない!「大学の塀は何のためにあるか」「それでも美人になりたいか」「首相になれといわれたら」「人間はなぜ笑うか」などなど、大学の塀から人間の本性まで、森羅万象すべてを笑いに巻き込む、ご存じ"笑う哲学者"プロフェッサー土屋の爆笑ユーモアエッセイ集。本書に収めたエッセイのテーマは、哲学、政治、芸術、ユーモアなど、さまざまであるが、これらを論じる姿勢は一貫しており、鋭い観察と緻密な論理の二つにとらわれない自由な精神を保つように心がけた。抱腹絶倒の哲学エッセイ。


何度も申し上げる通りこの手のエッセイは読み時が難しい。私のように続けざまに読むと1作の価値を落とし、また1篇の価値も落とす。もちろんツチケンも悪い。これだけ書いているとネタも尽きて被ってくるし、笑いの誘導も方向も同じになってしまっている。冒頭にデタラメな事を取り上げて、そのデタラメに乗っかる形で屁理屈で文章を展開し、必ず最後に現実に戻るという手法。この本はデジャ・ビュを起こさせる装置なのかもしれない。何冊目でも面白いまえがきとはどうして違うのか謎である。一番いい読むタイミングは古本屋で見つけた時に手に取るのが一番いいかも。少なくとも連続では読んではいけない、とツチケンから学んだ。
笑いは少なくなったかもしれないが、日常に近づいてきたのではないか、と思う。大学の塀・首相の動向など誰もが分かる事を時には哲学的思考を取り入れて展開するようになった。このエッセイは当たり前だがツチケンがお茶の水大学の教授であるという事が一番の特徴である。その道の権威が書くアンバランスが楽しいのである。私が書いても本当に売れ残るだけだ。日常エッセイの中にも鋭い考察があるからこそ頷けるというもの。考えてみれば哲学は宗教と同じ分類をしていたけれど(それも問題…)例えば、物理学の新発見(素粒子の運動には偶然の要素がある、など)があった時には、また違った世の成り立ちを考えなければならない。やはり世の中全体を疑ってかかるほどのパワーがなければ出来ない学問である。その疑いが妻に助手に学生にいかんなく発揮されているのがツチケン先生の生き方なのである。ご立派。感服いたします。

人間は笑う葦であるにんげんはわらうあしである   読了日:2003年08月02日