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哲学者かく笑えり (講談社文庫)

哲学者かく笑えり (講談社文庫)

ホモルーデンスとして生まれた諸君。笑うべし、遊ぶべし。楽しみの先に疑問があり、それが思索へとつながり哲学へ至る(かもしれない)。へ理屈は楽しい。詭弁は愉快だ!"笑う哲学者"土屋賢二のエッセンスがつまったエッセイ+英国留学時にやりとりされた絶品「滞英往復書簡録」が収録された、生活がうるおう一冊。


ツチケン・エッセイ第3弾。小説作家さんなどと違って作風が変わったという事はなく、前2作と同じようにズレを楽しむ作品。相変わらずエッセイ一篇のオチは弱いと思うのだけれど、文中に不意に現れるナンセンスなおかしさは必読。思わずプッと噴き出してしまう。今回は初出が連載で、一回分が長いために、一つずつテーマが決まっており、そのテーマへの考察が多く書かれており、とんでもない屁理屈が理屈に思えてきて面白かった。「働く女性の意識調査」のアンケートはずば抜けて楽しかった。合わせ技というか重ね技というか不条理の連続は笑いに変わる。ただ逆に長いの切れ味が無いとも思えるので諸刃の刃。この手の本自体も長く読み続けると飽きるし…「一日一章が望ましい」と最初に書いておくべきだと思う。
今回は↑のあらすじの通り往復書簡が収録されている。これは本当の往復書簡なのだろうか?完全なるフィクションなのか、多少アレンジを加えたのか?判断がつきかねるけれども面白かった。手探りの文章から遠慮の無い文章へ変わる文章は面白い。仲のいい人同士の罵倒合戦は笑えるから不思議である(ex.「阿川佐和子と檀ふみ」)。ユーモアは奥が深い。いしいひさいち氏の漫画はよく分からないものが多かった。ツチケンのキャラクタと微妙にズレているものが多かった気もする。漫画と空白のために見た目ほど文字量がない。気づくとあっという間にページが進んでいる。相変わらず作者紹介が面白いので要読。

哲学者かく笑えりてつがくしゃかくわらえり   読了日:2002年12月28日