―森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在 (集英社新書)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/04/17
- メディア: 新書
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超人気ミステリ作家であり、工学部助教授でもある著者が、理系大学生の珍問・奇問・素朴な疑問に答える。科学から人生相談まで、講義での数万件のQ&Aから、面白いものを選んで構成。
本当に何でも商売になる人である。この本は↑のあらすじの通り、作家ではなく助教授の森博嗣が毎回の講義で学生に書かせる質問の中で面白いものを選んだ本である。このQ&A集が商売(本)になるのも20年間の森さんの仕事量と質の高さの結果である。(一般に受ける)傑作選だけあって質問も面白いし、答えもシャレている。なんと、この質問の内容が成績の評価をつける、私にとっては前代未聞のシステム。システム自体は面白いけれど、私は防御力が弱いので、一度厳しい回答を書かれたらしばらく凹む&森先生が苦手になるな、と思った。
回答の仕方は真面目に答えているものもあるが、ユーモアに近い。読んでいて「ツチケン先生」っぽい論法だなと思う箇所がいくつかあった。こっちは真面目に聞いてるのに!と怒ってはいけないのだろう。打てば響く、その思考の回転力が魅力の一冊。回答の節々に著作に書かれている内容と同じようながあって、森博嗣の思考は昔から森博嗣なのだと再確認。この本が面白いのは、この質問者たちは小説家の森博嗣よりも大学の助教授として、生身の森さんに触れている所。顔と顔を合わせて、森さんの授業を聞きしている人たちが質問をしている。そこが森ミステリ読者との違い。私は小説家としての森博嗣しか知らないから、私の中の森さんのイメージと、ズレる部分もあったり。中には本当に大学生か?って質問もあるけど…。かくいう私も、この本を読むと何も知らない事に気づかされる。私が持っている知識とは何なんだろう、と思い悩む(フリをした…)。後から読んで、この本がすごい所は、9.11以前に超高層ビルの危険性にテロを挙げている所。先見の明だ。逆に言えば、テロリストも狙いやすいから狙ったともいえるけれど。