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ツチヤの軽はずみ (文春文庫)

ツチヤの軽はずみ (文春文庫)

この男の人間関係は職場でも家庭でもなぜこじれてしまうのか?こんなヒネクレた男が大学教授になったのは何かの間違いではないか?こじれた人間関係と身にふりかかる不幸に苦悩する"笑う哲学者"プロフェッサー土屋が苦しまぎれに説く深遠な人生哲学(?)満載の「週刊文春」連載エッセイ第一弾。笑えないものは何もない。本邦初の「お笑い哲学者」が贈る爆笑エッセイ集。試験も不況もリストラも、ついでに妻も笑い飛ばそう!


約3年ぶりのツチケン。正直言うと「あれっ、ツチケンってこんなんだっけ?」と思ってしまった。何というか、しつこいのだ。相変わらず考察は面白いし、さすが哲学科の教授だけあって面白い視点から物を見ている。不意を突かれた一文に堪らず「プッ」と吹き出すこともしばしばなんだけど、一冊の本として見た場合、面白いかと言われたら答えは「NO」である。というのも、毎回「同じ」なのだ。どんな話題であっても、途中どんなに滅茶苦茶な論理展開でも、最後のオチはいつも同じ「自虐オチ」というベクトルなのだ。週刊連載で一定の水準を保つことを要求され、ツチケンというキャラクタが確立していて仕方がないのかもしれないが、これはキツイ。よく言われることだが、どんなにカレーが好きな人でも毎日食べ続けていれば飽きるのである。仕舞いにはカレーが憎くもなってくるというものだ。
そんな中で一番、可笑しかったのは「才能は早く摘み取れ②」の「前号までのあらすじ」。だって本当に前号までのあらすじなんだもん。これは週刊誌連載でもこうなっていたのだろうか?これは一冊の本として読んでる人の方が楽しめる仕掛けである。そして興味深く、そして頷きながら読んだのは「顔写真の謎①・②」。本来、文章と作者の顔は何の関係もないはずなのに、なぜ小説やエッセイに著者近影を載せるのか?という話。そう、作品と作家の顔は全く関係ない。でも、作品を好きになるとどうしても顔も気になってしまう。そして見た時、多くは落胆が待っている(笑)あの人とか、あの人とか…。もう何も知らなかった頃には戻れない。
あと、個人的には本の最初から最後まで結局、直されなかった棚がツボかな。

ツチヤの軽はずみツチヤのかるはずみ   読了日:2006年06月17日