- 作者: 土屋賢二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/08/02
- メディア: 文庫
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なぜ人類は進歩しないのか、どうすれば究極の満足が得られるか、悔いのない人生はあるか、人に信用されるにはどうすればいいか、景気回復の決め手は何か、クリスマスやバレンタイン・デーはどうあるべきかなど、あるゆる難問に明快な答えと笑いを提出しつつ、失敗と悔悟の日々を送るツチヤ教授の「週刊文春」連載爆笑エッセイ。
『ツチヤの軽はずみ』と同じ、「週刊文春」連載のエッセイをまとめた作品。『軽はずみ』と違う箇所はどこか、と問われたならば、「無い!」と胸を張って答える作品。だから感想も「ツチヤの軽はずみ」と完全に一緒である。感想はそちらを参照して頂きたい(笑) 今回はカツカレーを毎回食べさせられている感じのエッセイになっている。詳しくは本編で。(←ちょっと上手い事を言った、気がする)
哲学科の教授でありながらも(しかも東大卒、お茶の水女子大教授である)、こういう洒落た文章が書ける点で、ツチヤ教授は注目されている。ただ如何せん、教授の生活範囲は狭い。家、大学、小渕首相、以上である。物語の9割5分は家庭と大学である。如何に自分が、妻と大学の女性たちから冷遇されているか、の話に始まり、話はオチる。マンネリもここに極まっている。いや「行き詰まる」の意味で、窮まっているかもしれない。ただ、会話文(特に助手との)は相変わらず面白い。こうなったら、井上夢人さんの『もつれっぱなし』のように全編会話文で構成したエッセイはどうだろうか。と、思ったが、全部のエッセイがが会話文だったら、それがマンネリになってしまうジレンマに気が付きました…。賢いぞ、私。
今回の目玉は、9割5分を取り去った残りの5分の(故)小渕首相だ。一寸の虫にも5分の魂、である。朝、妻に起こされると電話の先には小渕首相が…!? というドラマのような物語。ツチケンもここまで来たか、と感慨無量である。逆に小渕首相も何やってんだか、という感じもするが…。でも、このエピソードを読めば、何年前かに流行語大賞に選ばれた「ブッチフォン」にも納得が出来るかも…!?
これで5年前から積読状態であった土屋作品も在庫一掃。今後は、今までとは違った形態のエッセイが出たら読みたいと思います。おっ、情報によると変則的なエッセイが出版されているらしい。どうやら私はツチヤ教授の授業からは逃れられない運命みたい。授業中に眠ってしまわないように注意しなければ。Zzz…。