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QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)

希代の天才・藤原定家が残した百人一首。その一枚を握りしめて、会社社長は惨殺された。残された札はダイイング・メッセージなのか?関係者のアリバイは証明され、事件は不可能犯罪の様相を呈す。だが、百人一首に封印された華麗なる謎が解けたとき、事件は、戦慄の真相を地上に現す!メフィスト賞受賞作。


これから何作と続くQEDシリーズの1作目。そして高田崇史さんのデビュー作。
正直、感想はう〜んと唸る作品。私は日本史が好きですし(世界史は大嫌い)百人一首も上の句の最初の5文字で下の句まで言える程度に好きです(暗記だけ)。そして珍しく書店でノベルス版を新品で買おうかと迷っているときに、(2ページだけの)解説が北村薫さんだったので買ってしまったのですが‥この遠回りは何!?百人一首の研究本とミステリが融合した本ではなく、百人一首のうんちくと中途半端なミステリの繋ぎ合わせでした。 とは言うものの、下にスクロールして頂ければ分かるように、私はこのシリーズを何冊も読んでいます。ミステリとしてはどんどんと無理が生じてきているシリーズですが、なぜか楽しく読んでしまう。このシリーズの聞き手・奈々の様に大げさに驚いたりはしませんが、歴史に隠されたもの・出来事、物事の由来は非常に感心することがあります。しっかりと日本史や個々の研究をすれば分かることなのでしょうが、自分からは絶対読まないジャンルの知識が読めて楽しい(すぐ忘れてしまうのが難ですが‥)。
ただ、ミステリとして読んだ場合、動機や手掛かりなど全てが弱い。殺人事件にしなくても、日常ミステリや鯨統一郎さんの『邪馬台国はどこですか?』のように歴史好きが集まる中で隠された真実が!みたいなのでもいいと思います。新しい解釈を生むのは難しく偉業だと思いますが、どうも無理矢理な一冊。

QED 百人一首の呪QED ひゃくにんいっしゅのしゅ   読了日:2001年05月26日