《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

前作で大好評を博した論理パズル小説“千葉千波の事件日記”シリーズ、特別書き下ろし中編。今回も、天才高校生・千波くんと、浪人生の“八丁堀”、慎之介の3人組が、土砂崩れで“脱出不能の十三塚村”、“神裁きの土牢”など、続々現れる密室の謎に挑む。もちろん「解答集」付き、さらに(おそらく著者、最初で最後の)「あとがき」も収録!


夏休みを利用して千波くんの別荘に向かう3人。相変わらずのパズルの出し合いと、今回は密室の謎にも迫る。高田さん本人があとがきに書いておりましたが、これは講談社ノベルスの企画「密室本」にする予定の作品だったが、事情によりQEDシリーズの作品が「密室本」になったとか。だからかもしれないけれど、色々なカタチの密室が登場する。で、肝心の大トリックは…、これはミステリにあるまじき「密室」なのでは?ここまでいくと、推理とか関係ないような。 このシリーズ通しての感想として、オチが弱い。なんとなく納得できる解決に持ち込んでいるのに、オチが中途半端なため全体も弱く見えてしまう。主人公"八丁堀"くんが結局、千波くんの推理の一段上にいっているという、一段が限りなく低めの一段。だからどうした?って思ってしまうような。
この本の登場人物って80年代っぽい気がします。髪のサラリとした千波くんはあまりもてそうにないし、慎之介は長髪、八丁堀くんはシャツを中に入れて歩く姿がピッタシな気がするんですが‥どうも古臭いんですよ。
あとがきの方が興味深く読めたかもしれません‥作家さんたちの交遊録や、高田さんがデビューするに至った経緯など今まで語られてないことが書かれているんですから。ぴいくんの本名を当てた方がいる、とどこかで読んだはずなんですがどこなんでしょう?私は、このシリーズに思い入れは少ないので自らは考えませんが、知っている人がいるとなると知りたいものです。いつか分かる事を少し祈ります。

試験に敗けない密室しけんにまけないみっしつ   読了日:2002年09月09日