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緑陰の雨 灼けた月<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫)

緑陰の雨 灼けた月<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫)

「灰色の木を金色に戻す薬を下さい」不思議な合言葉を告げるとトラブル相談所に早変わりする深山木(ふかやまぎ)薬店を女子高生エリカが訪れる。寝ている布団が突然泥だらけになる、ぬいぐるみがカッターナイフで襲ってくる、自宅で続く怪奇現象に悩む彼女に、秋は4日で解決すると請け合うが? 大人気シリーズ第5弾。


今回、秋たちが扱う事件は怪奇現象。一人の女子高生の部屋で起こった現象から、彼女の通う学校と、その周辺で囁かれる「学校の怪談」の噂を調査するという展開。怪奇現象や怪談といっても、霊魂や怨霊の類ではなく、飽くまでもこの世界では妖怪の仕業と考えるべし。そして、なんで一人の女子高生の部屋で起こった事件を、彼女自身や彼女の部屋の調査をせず、彼女が所属する学校という外枠から調査を始めるのかというツッコミは禁止。関係ない舞台に話の展開を持っていくのが作者の意図なのだから。そして驚くべきは本当に関係が無い、キャー!!(これぞ怪談?) また、何の伏線もなく急に話がおぞましくなる展開にも胆を冷やした。そもそも失踪者が続出するの学校って、現実問題として大問題では…?
今回は秋の能力が高いのか低いのか分からないお話だった。他の登場人物より優れているとの描写がありながら、捜査能力といい、思考・推理力といい、今回は後手後手に回って活躍の場面が少ない。また今回も(?)、色々と説教臭いセリフが多く登場するが、とても長く生きている人(妖怪)の精神から発せられる言葉とは思えない。これは作者の精神そのものだろう。作者の思考をダイレクトに感じるのはこの作品の長所であり短所。また文章がムダに硬い。普段は使わないであろう語句・語彙を見る度に「おっ、ここが作者の決め所・見せ所なんだな」というのが一発で分かる。また、蛇足の多さが余韻を削いでしまう。
今回は「ある人物」のご兄弟が登場。残念ながら「ある人物」自身は登場しないのだけれど、登場しない事によって、その存在を恋しく思うミッシング(笑)
本書が私にとって「薬屋探偵妖綺談」最後の巻。物語はこの後も続きに続いて、2006年に全13巻を以って「第一部」が終了。死なば諸共(誤用か?)という気もしなくもないが、感想が文句だらけになるので、ここで私は幕引き。さよなら、葉山くん(笑)!

緑陰の雨灼けた月りょくいんのあめやけたつき   読了日:2001年08月05日