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金糸雀が啼く夜<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫)

金糸雀が啼く夜<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫)

深山木薬店の三人組に分裂の危機が!展覧会からサファイアを盗み出す犯罪計画に巻き込まれた座木とリベザル。だが一方で秋は盗難警備の依頼を受けていた!さらに、対決の場に突如現れた道化師の死体とは?混乱する事態はいかなる結末を迎えるのか?花屋の主従コンビが新登場する快調シリーズ第4弾。


ミステリではない事は重々承知していながらも、またも納得がいかない。このシリーズ、部分部分は楽しいのに、読後感が悪い。ミステリを読み終えたカタルシスがなくて「ぽやや〜ん」とした気持ちだけが残る。良く言えば「ほのぼの」であるが、悪く言えば「もやもや」。作品と作者の距離の近さの毒気にあたってしまうのかもしれません。今回の問題点は構成。端的に言えば第6章。必要?いや、この章がなかったら駄目なのですが、この章だけ浮いている。一山終わったジェットコースターがずるずる惰性で動いている印象だ。もう、止まっていいんですけど…。妙な美談がくっついている(妖怪というオプションも)。私はシャンデリアの謎の方が面白いと感じる人である。いつもどこかで、これが無かったらな〜と思う箇所があるから評価が低くなる。この作者さん、物語の最後をいつも美しく終わらせようとする癖がある。事件の汚さと主人公のキレイさは別だと思う。
結局このシリーズは、薬屋の3人の関係性を重点に置いていて、どんな物語も秋が一番で、座木はスマートに、リベザルはやんちゃに行動する事が本の第一目標に置かれている。ミステリ部分は第七目標ぐらいか。今回の事件は座木と秋の対決も盛り込まれていてシリーズファン(と作者)には楽しみ満載の展開である。本書はいつもにも増して秘密が明らかにされる一冊。そこは楽しいかも。あと、不要な中国語は私は止めてほしい…。日本では日本語にしようよ。

金糸雀が啼く夜かなりあがなくよる   読了日:2001年07月15日