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ミカ! (文春文庫)

ミカ! (文春文庫)

活発で男まさりのミカ。スカートなんてイヤ!おっぱいなんていらない!思春期の入口にたつ不安定なミカを、双子のユウスケがそばで見まもる。両親の別居、姉の家出、こっそり飼っていた「オトトイ」の死…。流した涙の数だけ幸せな未来が待っている。第49回小学館児童出版文化賞受賞作。


面白かった。まず設定がいい。異性の双子、同一の他人・ミカ(本当はミカコ)とユウスケ。これに小学6年生という二次性徴の真っ只中の時期を加えれば、性差を描く事が出来る。この設定で問題・悩みが起きないはずがなく、ノスタルジィがない訳がない。かなり児童書モード(大人と子供の二元論や説教など)の箇所がない訳ではないが、正しいから良し。大阪弁というのも、いいなと思った箇所。言葉がきつくなりすぎず、なんでも許してしまえそうな心の広さを感じる。大阪に対する逆偏見だろうか。大阪弁はちゃんと変換が出来ないので著者は苦労したのだろう…。謎の生命体「オトトイ」はちょっと分からなかったけど。とにかく良い作品。
自分に正直に生きるミカも素敵だけど、私はユウスケがいいと思った。真っ直ぐなユウスケ。多分、ミカの悩みを一番、理解してるし悩んでいると思う。ミカの「ユウスケはやっぱり男やから、あんまり泣かへんねんな。アタシはオトコオンナやから、ときどき泣いてまう」なんて面と向かって言われたらかける言葉がない。これは、とても悲しいセリフだった。ミカが限界を(体の変化が止められないことを)理解してて胸にジンときた。中学生になった彼らの活躍も続編で読めるので楽しみ。

ミカ!   読了日:2004年12月04日