- 作者: 有栖川有栖,宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/05/15
- メディア: 文庫
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取材で雪深い裏磐梯を訪れたミステリ作家・有栖川有栖はスウェーデン館と地元の人が呼ぶログハウスに招かれ、そこで深い悲しみに包まれた殺人事件に遭遇する。臨床犯罪学者・火村英生に応援を頼み、絶妙コンビが美人画家姉妹に訪れたおぞましい惨劇の謎に挑む。大好評国名シリーズ第2弾!長編ミステリ。
国名シリーズ第2弾にして初長編作品。有栖川さんの作品にいつも思うことはいい意味でも悪い意味でも抜け目がないと思うこと。いい意味では安心して読める。本格推理というカテゴリをしっかりと遵守している。だから明かされる真相は、非常に明快で論理的。けれども逆を言えば真相があっと驚くものではない、ということ。どうも真相が明かされる場面での驚きの新鮮さがない。フェアであり続けるがゆえ、この本で言えば火村英生をいう名探偵役がどうもパッと輝かないのである。1秒で謎を解く名探偵も嫌だが、長編で謎をトロトロ解いている名探偵もパッとしない。だから有栖川さんの作品は私にとって6〜7点であり続けてしまう。好みの問題もあるけど。
この作品の舞台はスウェーデン館。といっても日本にあります。場所は裏磐梯です。館モノかと思いきや、綾辻さんの「館シリーズ」というより基本的に雪の山荘ものです。足跡が誰のものなのか?という基本的な謎です。この謎の真相はなかなか好きです。なるほど、推理はパズルみたいなものとはよく言ったものだ、と感心しました。また、童話作家の家というのも、物語を幻想的なものにしていると思います。ただやっぱり冗長さを感じてしまう。雰囲気を固めようと無駄に長くなっているようにも思えてしまう。やっぱり火村・アリスのキャラクタ先行の小説だと思うところもありますね。