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ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)

ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)

美しい異国の蝶が天井を埋めた部屋で殺害されていた男。何のために蝶の標本が天井に移されたのか。鮮烈なイメージの表題作ほか、小指ほどの小さな鍵の本当の用途が秘書殺しの謎を解く『鍵』など、おなじみ有栖川・火村コンビの名推理が冴えわたる傑作ミステリー全六篇。読者待望の「国名シリーズ」第三弾。


読んでいて、つまらなくは決してない。けれども手に汗握るほどの興奮もない。同じ雰囲気の作品を続けて読むのも悪いのだけれども。どうも提示される謎や雰囲気に対して結末が弱いと思う。もっと魅力的な回答を出してくれてもいいじゃないか、と思わずにはいられない。想像していた展開と、実際の展開が期待を超えない。しかも実際の展開の方が格段に地味。飽くまでも正統派なのだ。同じような短篇は後々記憶から忘却されていくので緩急をつけて欲しかった。また大体の作品が登場人物が7〜8人いて、誰が誰だか分からないまま犯人当てになってしまう。もうちょっと少なくても上手く展開できるのでは。容疑者の幅は狭まるジレンマはあるけれど。そこは筆力でカバーという事で。

  • 「ブラジル蝶の謎」…あらすじ参照。表題作。正統派パターンですね。現場に到着→関係者を事情聴取→犯人指摘。感想としてはアレで人の行動を絶対に誘導できるか、という事。どっちがインパクトが強いかって言ったら…ねぇ。
  • 「妄想日記」…精神に変調をきたし、地下で生きていた男が庭で焼かれて死んだ。一体彼に何があった?数々の遺留品から暗号を解き明かすのかと思っていたら、普通に理詰めで犯人を指摘した展開にガッカリ。あの紙は何なのさ…?
  • 「彼女か彼か」…女性になりたい男性が殺された。容疑者候補は男と女。有栖川版「どちらかが彼女を殺した」ですね。「片想い」も入ってますかね。タイトルがいい。あの新キャラはまた登場するのか?構成が楽しかった1作。
  • 「鍵」…撲殺された死体の傍に落ちていた鍵。これは何に使うものなのか?毎度思うのですが、わざわざ死体を登場させなくてもいいと思う。火村助教授が日常ミステリに挑戦ってのも私は面白いと思う。動機がテーマの作品。
  • 「人喰いの滝」…川沿いの崖から老人が転落死する事態が起こった。果たして事故か事件か?今回は岩手が舞台。アリス行く所に事件アリ。雪上の足跡がキー。現場の地形や状況を上手く設定した作品。純粋に楽しんで読めました。
  • 「蝶々がはばたく」…アリスらが電車で聞いた1960年のカップルが煙の如く消えた事件。果たして火村の回答は?いいですね、この作品。悲しいけれども美しい物語。冒頭からの一貫した流れもお見事。蝶で始まり蝶で締めた一冊。

ブラジル蝶の謎ブラジルちょうのなぞ   読了日:2001年11月10日