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マレー鉄道の謎 (講談社文庫)

マレー鉄道の謎 (講談社文庫)

マレー半島を訪れた推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生を待ち受ける「目張り密室」殺人事件!外部へと通じるあらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウス内の死体。この「完璧な密室」の謎を火村の推理は見事切り伏せられるのか?真正面から「本格」に挑んだ、これぞ有栖川本格の金字塔!


ファンにとっては幻にならずに安堵した作品。出るぞ、出るぞと囁かれて幾星霜過ぎた事か…。第56回日本推理作家協会賞受賞作。確かに本格推理としては出来は良いのでしょうが、インパクト的にはいまいち。正直、これが!?と首をひねってしまいました。これまでの国名シリーズ作品で最長というのも×。長い割に地味だと思う。読んでいて疲れました。いくら読んでも事件は進展しない徒労感。飽くまでも私にとってという前提を置いてから言わせていただくと、提示されている謎が謎の魅力を長く持続するような物ではなかった。人が多く殺されれば魅力が増すわけではないけれども。やはり提示される謎の求心力みたいなのがミステリ作家には求められるのではないだろうか?フェアにこだわるとつまらなくなる、という印象を抱いてしまう。本格の面白さをもっと作品全体で伝えて欲しかった。
今回の国名シリーズはシリーズ初にしてやっと本当に海外で事件に遭遇するというもの。ここで私にとっての不幸は、海外で事件が起きているので被害者も捜査する警官・登場人物の大半がカタカナ表記であること。これでは、海外人物名が苦手な私にとっては人物の判別が難しく途中投げやりに読んでおりました。そして今回は帰国のリミットがあること。事件をその期日以内に解決しなければいけないという、焦燥感のもとでの捜査(予想される通り、お約束通り期限ギリギリに事件は解決するんだけど。最後は帰国後に次の事件が待っている、というこれまたシリーズ初の連作を予感させるような終わり方だったのに今の所、本書のラストと繋がる作品は無いようです。

マレー鉄道の謎マレーてつどうのなぞ   読了日:2002年10月26日