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ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)

ミミズクとオリーブ (創元推理文庫)

讃岐名物の「醤油豆」。焼いたカマスのすり身と味噌をこね合わせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物。カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ。新ジャガと小ぶりの目板ガレイ(ぼくらの郷里ではこれをメダカと呼ぶ)の唐揚げ…次々と美味しいものを作るぼくの妻は、なんと名探偵だった! 数々の難問を料理するそのお手並みを、とくとご賞味あれ。


いいな〜、こんな生活…。思わず羨んでしまうほど緩やかに流れる空気。作家の「ぼく」とその妻、2人だけの生活。そして何と妻は抜群の推理力を持っていた。
この本の魅力はなんと言っても料理! 「ぼく」の妻が作る料理の描き方! 読んでる最中、何度もお腹が鳴ってしまった。郷土料理のいい匂いが漂ってくるようなそんな小説です。直木賞作家というのは何を書かせても上手いらしい。疲れた心とお腹を刺激するのんびり「癒し系」ミステリ。いつか「ぼく」の作品も読んでみたい。どんなジャンルの小説を書くのだろうか。歴史小説っぽい雰囲気だけども…。

  • 「ミミズクとオリーブ」…表題作。大学時代の友人の妻が手紙を残して失踪。どうして? どこへ…? 40ページ足らずの短篇に、本書の素晴らしさの全てが詰まっている。「ぼく」の性格・妻の料理と推理。名作の予感は最初からありました。
  • 「赤い珊瑚の耳飾り」…夫が出先から帰ると、妻は部屋で死んでいた。第一容疑者はアリバイの無い夫だが…。今後、度々登場する警察官・河田さんが初登場。事件概要を聞く時の3人の漫才のような会話は今後何度も楽しめます。
  • 「おとといのおとふ」…郷里で開かれた同窓会で聞いた、地元ワンマン社長の撲殺未遂事件…。偶然も多いけれど呪文に興味津々。妻は目立つ女学生だったようだ、との表記から妻の綺麗さが窺い知れます。ラストは夫婦愛。ご馳走様。
  • 「梅見月」…20年前、「ぼく」と妻の結婚譚。友人宅から持ち出された宝刀の謎を「ぼく」は解決できるのか…。妻の内助の功は結婚する前から発揮されていたんですね。妻が風邪を引き「ぼく」が七転八倒する様が目に浮かんだ。
  • 「姫鏡台」…友人の警察官・河田がまた事件を持ってきた。アトリエで死んでいた画家は果たして病死なのか殺人なのか…。冒頭の出来事が最後まで活きていて良いですね。人の優しさと冷たさに触れる事になる一編。
  • 「寿留女」…またまた河田が相談事を持ち込む。お茶の問屋を営む夫婦の離婚問題は上手く解決されるか…。見えなくてもいい所まで見えてしまう妻の苦悩と呑気な「ぼく」。果たして「ぼく」は、自分の最大の幸運に気付いているのだろうか。
  • 「ずずばな」…河田の今度の事件は、自宅マンションで死んでいた夫婦二人の謎…。事件の異様さと、「ぼく」と妻の生活のギャップに驚いた。同じ夫婦なのに…。現われなくなったミミズクは心配しました。妻の幸せが続きますように。

ミミズクとオリーブ   読了日:2001年12月04日