《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

RIBON スーパー新キャラ コンテスト。参加資格は新入生・転校生。次の募集は来年の春。

ロッキン★ヘブン 4 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
酒井 まゆ(さかい まゆ)
ロッキン★ヘブン
第04巻評価:★★☆(5点)
  総合評価:★★★(6点)
 

みんなにナイショで藍とつきあい始め、初めて迎えるクリスマスに期待しまくりの紗和。だけど藍は城戸たちの開くパーティーに参加すると言い、紗和はショックで!?

簡潔完結感想文

  • クリスマス回。聖夜の直前に恋人が怪しい動きをしたも それは浮気じゃないよ☆
  • 新キャラ祭。年度が変われば新たに学校という閉鎖空間に出入りする人も増える。
  • 芸能回。出会いさえあればイケメン俳優を惚れさせる自信はあります。プロ彼女。

愛に参戦する条件は学校への入学です、の 4巻。

正直言って、読まなくても大丈夫な中盤に突入しました。

本書は正統派の少女漫画ですから、展開もまた正統。
少女漫画の中盤によくある恋愛高止まり中の
新キャラ祭り と 友人たちの恋模様のゾーンに突入です。
これで人気が保持できる時点まで話を引っ張る算段でしょう。

この辺までくると各キャラに愛着が湧いて、
彼らが動いているだけで満足な読者もいるだろう。
確かに本書ならG組のキャラがワイワイやっている光景だけで楽しい。

が、これはヒロインにとって茨の道。

というのも恋愛事件を巻き起こさないと少女漫画が成立しないので、
隙の多いヒロインが、誰かの「好き」に巻き込まれるという展開ばかり続く。

この時に中途半端な態度を取らざるを得ないから、
少女漫画の主人公は、両想いになった中盤以降の好感度が下がる運命にある。

その中では本書の場合、主人公の紗和(さわ)が割と痛い目を見ている気がする。

自分の思い至らなさを痛感させられたり、
どっちつかずの自分の態度の代償を払わされたり、と なかなかに厳しい仕打ちを受ける。

また、紗和は落ち込んでてもテンションを高く維持したりしていて、
泣くだけヒロインとは一線を画しているところが好感を持てます。


そういえば『4巻』で紗和と藍(らん)との交際も半年以上が経過しましたね。
彼の人生での最高記録を更新し続けております。

ただし その間、キスが3・4回。

恋愛イベントの多い冬に突入しても、
藍が恋愛に淡白なので恋人らしいこともなく春を迎えてしまった。

正直、紗和は彼のどこを好きでい続けているのかが分からない(顔?)。
でも彼女は藍から好かれているのは伝わるらしい。
読者に それが伝わってこないが残念なところ。


ょっとズレてもいるが、『4巻』は掲載時の季節とほぼ同じ時期を描く。
2月号~5月号で、クリスマス、受験、進級を描いております。

クリスマス間際の恋人たちのすれ違いは、あるある ですね。
彼の素っ気ない態度には自分を想ってくれる温かさがあった。

一度 落としてから上げるのは少女漫画の典型的手法ですね。
藍からのプレゼントは落としてしまった謝罪の気持ちに見えるが。
もし普通に約束していたら何か贈り物を用意してくれたのだろうか。

そのプレゼントである ピアスを片耳ずつ2人して身に付けたら、目ざとく発見され、
5か月ほど秘密にしていた自分たちの恋愛をクラスメイトたちにもオープンにした。

秘密にしていたことも それほど理由がなければ、オープンにするのも理屈がない。

心境の変化(特に藍)などが描かれずに、なし崩し的な発表は残念だ。
クリスマス気分に浮かれて、周囲に配慮せずに見せつけただけ。


いては年も明けて入試シーズン。

交際をオープンにして以降、城戸(きど)とは少し気まずい関係の紗和。
どうやら城戸は交際にショックを受けているらしいが、
明確な好意を言われたわけではないから、紗和もフォローも出来ない状況。

そんな城戸の妹・彩加(あやか)が受験を合格し、晴れて この学校に入学することが決まった。

クリスマスの交際カミングアウトに意味があるとすれば、
この回への繋がりがスムーズだという点だろう。

3年余り藍に想いを寄せていた彩加と、好きをくすぶらせている城戸。
そこから城戸兄妹の結託回となります。
しかも兄は妹に脅迫される形で…。

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来年度からの入学生ならば本書に参加することが許される。逆に入学したら出番ないけどね…。

加は合格祝いに藍にデートを依頼。
しかし恋人がいるという理由で藍は拒絶。
そこへ紗和が りぼん の主人公らしく優しさを見せて、デートを許可。
が、覚悟なき中途半端な優しさが自分を苦しめる。

今回、紗和は藍の彼女としてライバルキャラと争う初めての展開。
いわばディフェンディングチャンピオンだ。
ただし対戦相手は自分よりも片想い歴が長い女性。
そんな人に現恋人の余裕を見せたことが間違いだったのか。


藍のデートを尾行する中で、紗和は城戸とも普通に会話できる友人関係が戻った。
しかし紗和は自分から色恋の話を振って、男女のムードが漂ってしまう。
恋愛に振り回されるヒロインだから仕方ないけど紗和って、デリカシーがない。
前向きなのは良いが、前しか向いていないから、バランス調整が出来ていない。


一方で藍も要望されるがまま自分の部屋を彩加に見学させる。
友人の妹とはいえ年頃の男女が密室にいるという危険性を何も考えていない。
どうにも脇が甘い人たちである。

こういうライバルキャラが出てくる回は、
雨降って地固まるで、恋人たちの仲が一層深まりました、という展開が多いが、
本書の場合、地面が固まったのは、城戸兄妹の方。

揃って失恋して、傷をなめ合って、罵りあって、仲の良い兄妹の姿が見られた。

彩加はこの学校の生徒だから出演機会はまだある、はず。


入生の次は転校生。
2年生進級時にクラスに転校生がやって来る。それも飛び切りのイケメン。

ちなみにクラス替えは ありません。G組は永遠に不滅です。

転校生はコンテスト優勝者にしてモデルで俳優、
芸能活動2年目にしてドラマに引っ張りだこの杉下 晴希(すぎした はるき)。

この学校、しかもG組に編入しないと物語の参加できないので、これは仕組まれた転校です。
逆に言えば、彼は紗和争奪戦の資格を得たので、戦いの予兆でもあります。

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イケメン俳優もクラスメイトも顔が同じ。誰かの生き別れた双子の兄弟なのかもしれない⁉(嘘)

芸能界から当て馬を引っ張り出してくるのは少女漫画の悪癖かな。
これは停滞しかねない物語を華やかな世界に引っ張り上げることが出来るし、
世間的には最上級のイケメンにヒロイン(読者の分身)が愛されるという夢が見せられる。
そして芸能人にも負けないヒーローが演出できるのだろう。

ちなみにヒロインは イケメン芸能人にそれほど興味がないのもお決まりのパターン。

だけど ふとしたキッカケで関わりを持ち始め、
ヒロインらしい前向きさが彼の心に印象を残す、というのもベタで王道展開。

紗和が隙を見せるのも既定路線だろう。
もしかして藍との恋愛の欲求不満が その伏線なのか?
その代償はなんだろうか…。

「ロッキン★ヘブン番外編 Home,sweet home」…
紗和の両親の出会い秘話。
母親の小ざっぱりした性格の根源が分かった気がした。

にしても良くも悪くも少女漫画にありがちな現実感のない結婚への道ですね。

18歳で獣医学部で出会って、結婚。
2年後には子供誕生。

…って計画性も何もあったもんじゃありませんね。

父は出産費用とか自分で稼いだのでしょうか。
結婚前後の両親との同居生活も親の金で生きているっぽいなぁ。
父は生まれつきのヒモ体質なんでしょうか。

というよりも父はヒロイン気質か。
運命の人に出会って即結婚。
家庭に入って幸せという旧来の価値観の人。
それは紗和にも受け継がれているのか…?

母は出産による大学の休学もあっただろうし、
お金がかかる道ばかりを進んでいる気がする。

なぜ母が働いて、父が専業主婦になったのかなどの経緯は最後までない。
母の方が優秀だったからだろうか。

紗和が父に、藍が紗和の母に似た環境を生きているのは必然だろう。
この物語があるから、最終盤の展開が生まれる。