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海馬 脳は疲れない (新潮文庫)

海馬 脳は疲れない (新潮文庫)

脳と記憶に関する、目からウロコの集中対談。いわく、「『もの忘れは老化のせい』は間違い」「30歳を過ぎてから頭は爆発的によくなる」―。記憶を司る部位である「海馬」をめぐる脳科学者・池谷裕二のユニークな発想と実証を、縦横無尽に広げていく糸井重里の見事なアプローチ。脳に対する知的好奇心を満たしつつ、むしろオトナの読者に生きる力を与えてくれる、人間賛歌に満ちた科学書。です!!


こんなに頭(脳の位置)を意識して読む本も珍しいんじゃないかな。脳の話題になるたびに眉間とこめかみを結ぶラインから上がムズムズしてくる(笑)
面白かった!私は啓蒙書の類は苦手だけれども、これは科学の啓蒙書だ。道に迷った時、悩み押しつぶされそうな時、人の、脳の仕組みとして何をすればいいのかが具体的な記述で書いてある。つくづく理解は光だと思った。顔を上げるとパッと目の前が明るくなって見える範囲が広がっている。そういう経験は楽しい。何日か経って、私の意識が本の内容を忘れてしまっても、私の中の無意識が覚えていてくれて、いつか助けてくれるだろう。この本を読む前と、今の私は大きく違う。そう思う本だった。その反対に、科学でも人間は主観の整合性のために嘘をつきたがる、という事実に、自分は自分すら把握できないだな、と奇妙な感覚もあった。
この本の会話こそ新しい発見と関係(コミュニケーション)が作られている、まさにその証明のような会話だった。受け手の糸井さんの柔軟な理解力と発想があって初めてこの本特有の面白さが出ている。ここでもコミュニケーションの基本が成立しているのだ、と感心した。書かれていることは一見当たり前に思えるような簡単な事なんだけど、こう書かれると、目からウロコ状態の事ばかりで感動してしまった。昔の人が経験的に学んでいる事が科学の論理になっていくんだなぁ。
「経験メモリー」は2の何乗で増えると書いてあったけれど、読書もそうだろうか?ある本を読んだら、以前読んだ本の理解が増し、これから読む本にも影響する。確かに連想は多くなるだろう。なんだか、これから楽しみだ。連想といえば海馬がなくなった人の話は、現実での「博士の愛した数式」みたいだった。あの博士も海馬が機能しなくなってしまったのだろうか? 笑ってしまったのが池谷さんの「あとがき」。漢字を書くのは苦手でも語彙はたくさんあるのね(笑) 人間って不思議だ…。

海馬 脳は疲れないかいば のうはつかれない   読了日:2005年10月27日