伊集院光と弁護士・岩田武司のもめごと解決大将軍 (小学館文庫)
- 作者: TBSラジオ「伊集院光日曜大将軍」
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/07
- メディア: 文庫
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結婚詐欺ならぬ離婚詐欺ってあるの?お隣へのお中元のメロンを食べちゃったら?賃貸住宅の保証人になったら5年分600万円をいきなり請求された…。そこで、あれはどうだ、これはどうだと思いも寄らぬ一層の不幸(!?)へと導いてくれる伊集院光。対する弁護士の岩田先生が、解決への手がかりを与えてくれる。身近なもめごとのタネはつきない。もしあなたが一度もこんな目にあったことがないとしても、それはたまたまに過ぎないのだ。TBSラジオ「伊集院光・日曜大将軍」人気コーナーでの爆笑トークを誌上再現。
この本は以前TBSラジオで放送していた「伊集院光・日曜大将軍」という番組の中の「赤坂法学部」というコーナーの放送内容を基に構成した本である。今現在(05年)この本を初めて知った方は「あの手の法律相談番組ね」とお思いでしょうが、出版されたのは2000年で、放送されていたのはもっと前。私にしてみればおもしろ法律相談の先駆けとなったコーナーだと思っている。(もちろん「生活笑百科」など、この手の番組は前々から存在していたけれど)「日曜大将軍」という番組は、伊集院さんの他にアシスタントのTBSの小倉弘子アナウンサーがいたのだが、この本では小倉さんの存在は抹殺されている。権利関係なのか、伊集院さんと弁護士の岩田武司先生の二人だけの対話方式で文章は進む。
法律とは難しい物だ、と改めて思う。常に弱者の味方という存在ではないという事を思い知らされた。多少大げさに言うと法律は法律を守った人の味方である、とも感じた。自分に法律上なんら問題がない場合においてしか守ってくれないのかもしれない。人生は、ある程度の予測と覚悟を持って行動しなければならない、なんて事も思ったり…。結婚・命名など人生の大問題、契約や会社といった小問題、全てに法律上の決まりがある。天網恢恢疎にして漏らさず、だが大人しく黙っていると自分が不利になるような事もあったりして大変だ。知らないと落とし穴に気づかないまま落ちてしまう。さて興味深かった事を二つ。一つは命名の回の話の常用漢字と人名用漢字を使っていれば読み方が自由だという事。この本では「源九郎時貞政宗」と書いて「たくや」と読ませてもいいという話が出ている。知らなかった、読めなくても良いわけね。最近の子は変わった名前の子も多いですから、いつかこのような名前の人に会うかも。もう一つは岩田先生が仰っていたタクシー運転手に対して判例が厳しい、という事。以前「雲助まがい」という差別発言があり裁判官の常識やモラルが問いただされていたが、不利な判例も裁判官の意識の問題からなのだろうか?だとしたら非常に憤りを感じた。法とは何なのだろうか。
この本の構成に文句を。会話形式の内容なので仕方がないといえば仕方がないが、スペースが多すぎる。全体の1/3は空白。読みやすいが内容が薄く感じられるのだ。もうちょっと工夫して濃い本にして欲しかった。あと挿入されているイラストは分かりづらいね…。シュールっぽくて好きだけど挿絵としては分かりにくい…。