100人の森博嗣 100 MORI Hiroshies (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/15
- メディア: 文庫
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森ミステリィへ深く誘われる「森語り自作小説のあとがき」、一筋縄ではいかない「森読書 書評や本に関するエッセィ」など、『森博嗣のミステリィ工作室』と対をなす、魅力がぎっしり詰まった個人読本。特別企画としてデビューまえの手紙や、新聞不掲載となった「子供には新聞を読ませない」なども収録。
森博嗣が様々なメディアで書いた文書の集めた本。エッセイは全部を追うのが難しいので森博嗣ファンには嬉しい一冊である(森博嗣は作品ではなく作家のファンになるのはおかしい、と言うだろうが)。基本的に切り貼りしただけであるけれど、それが「商品」になるのが森博嗣の力であろう。かく言う私も、現時点で人生で読了した小説のほぼ10冊に1冊は森博嗣作品である。さらに言えば、他のミステリ作品を選ぶ際、参考にしたのも、この本の第1弾とも言うべき『森博嗣のミステリィ工作室』で森博嗣が紹介してる100冊の中から目についた本を読んだ。私がいかに森博嗣に影響されていることか。毎度の事ながら、なんて思考の面白い人なのかと、文章を読むたびに圧倒される。やっぱり好きである。
一番の発見は「S&Mシリーズ」全10巻と「Vシリーズ」全10巻の作品はそれぞれ一対一に対応していた事。構造・プロット・趣向が部分が意図的に似せてあるらしい。気づかなかった。そして、森博嗣は非常に真面目である事。掲載されている他の作家の本への「解説」(本の最後にあるやつ)では自分が読んで好きだった作品を好きと書いている。つまり、心から解説(推薦)している、と分かる。だから読みたくなってしまう。特に萩尾望都さんへの解説は面白い。本当にフラダンスを踊りかねない躁状態。また、1番最後に収録されている高校生のインタビューでの森博嗣の人格には驚いた。言っている事は、これまでと変わらないのだけれど、態度や空気が違うように思われる。高校生側も真摯であるからであろうけれども、大人として教育者としての森博嗣を垣間見た感じ。確かにカッコいい大人である、森博嗣は。だからファンがつくのだと思うよ、森さん。蛇足ながら、「イチロー」を「イチロ」と言わないのは固有名詞であるから当然だが、「ー」を久々に見た気がして楽しかった(笑)。