- 作者: 室井滋
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/08/03
- メディア: 文庫
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一見、怖いものなしのムロイだが周囲にはコワイ話がいっぱい!ロケ現場での全身の毛が逆立つような体験に、ムロイが目撃した深夜の友人の奇行…。おばけも殺人犯とのニアミスもストーカーも怖いけど一番怖いのは!?文庫だけの付録は佐藤愛子先生との特別対談。大作家が体験した霊体験の数々に興味津々のムロイが直撃。
室井さんの「すっぴん魂」シリーズも5冊目。今回は怖いもの特集。怖い話は苦手なんだから止めておけばいいのに読みました。怖かったです。特に前半は霊関係の話が多く、神経過敏になりました。後半は霊よりも人の話が多く、どちらかといえば迷惑な人たちの話でした。ただ現実で、霊感のない私が霊と人のどちらで悩むかといえば後者でしょう。ストーカー・銀行強盗・痴漢・迷惑おばさん色々と怖いものは溢れているし、人それぞれの悩みがあるのでした。
今回、私が一番身につまされた話は「これからのプライバシー」という話。室井さんに住基ネットの11桁の個人コードが届き、その夜、飲み屋で近所の人と話し込んだ、という話。個人が数字で管理される事に危惧をおぼえる人はいるけれど、実際何がどう怖いのかは分かっていない人が多い中、80歳のおじいさんが適確に指摘する管理社会の未来の姿。これには感動しました。おじいさんが指摘した事は本当に慧眼だと想う。独力でそこに辿り着いた彼の思考力に感服。怖い正体をつきとめる、自分がどういう事に巻き込まれるのか不安がるだけでなく学習し予測する、そういうことが出来る人ってなかなかいません。