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おいしいコーヒーのいれ方 (2) 僕らの夏 (集英社文庫)

おいしいコーヒーのいれ方 (2) 僕らの夏 (集英社文庫)

5歳年上のいとこのかれんとその弟の丈と同居して1年。大学生になった勝利の毎日は不安と焦りでいっぱい。恋人でもあるかれんとの仲が、なかなか進展しないからだ。ファースト・キスを交わしたけれど、かれんは本当に僕のことを好きなのだろうか?強力なライバルの出現、そして大学での新たな人間関係と、勝利の心は休まる暇もない。シリーズ第二弾。かれんと勝利、ふたりの夏がはじまる。


おいしいコーヒーのいれ方」第2弾。前回のテーマが片想いのじれったさ、恋が成就する喜びだとすると、今回は「好きの先にある感情」だ。二人の恋愛も第2段階に突入する。自分の気持ちとかれんの気持ち、もしかして自分の気持ちのベクトルだけが一方的に強いのではないか?と勝利は懊悩する。確認せずにはいられない。肉体的にも精神的にも、もう一歩、更に一歩、近づきたい。どうしようもなく好きだからこそ、胸が痛い。この両想いの喜びと不安の描き方が上手い。
今回は勝利とかれん、それぞれに今後のライバルらしき存在と、二人の進展を邪魔する存在が登場する。本書では二人の仲も周囲も穏やかな変化だったが、今後の波乱への伏線はしっかり張られている。それに足が引っかかった時、さて物語は、二人の恋愛はどうなってしまうのだろうか…!?


「HEARTACHE TONIGHT」…酔っ払って帰宅したかれんを介抱する勝利。だが、かれんにはある酒癖が…。かれんの生殺し。勝利は犯罪者にはならなそうだが、このままでは、いつまでも恋愛被害者のままだろう。中沢先生は今回、大人しい。だが、学校ではちょっかいを出しているのだろうか(セクハラみたいだ…)。
「DON'T THINK TWICE」…大学で勝利は、家も近所の同級生の女性と知り合う。だが一緒の帰り道を、かれんに見られてしまう…。どの登場人物も同じ町内にいるなんて、狭い世界の話だなぁ。今度は勝利が生殺しか…? 初登場・星野りつ子は今後、物語に嵐を起こして、すべてを壊すのだろうか…(「嵐の素顔」より)。
「TIE YOUR MOTHER DOWN」…かれん・丈の母の突然の帰国。家の中でかれんに近づけない勝利は外でのデートを企画する…。熱が上がり、熱が奪われ、再び熱が沸騰するほどに上がる。勝利とかれんの緊張がこちらにまで伝わる。通り雨の場面は、目と目で通じ合う かすかに、ん、色っぽい♪だ。(再び古い…)

僕らの夏ぼくらのなつ   読了日:2006年11月04日