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少女漫画と小説の感想ブログです

BAD KIDS バッド キッズ (集英社文庫)

BAD KIDS バッド キッズ (集英社文庫)

20歳も年上のカメラマンとの関係に苦悩する都は高校の写真部長。彼女が絶好の被写体と狙いをつけた隆之は、ラグビー部の同性のチームメイトに秘かな恋心を抱いていた。傷つき悩みながら、互いにいたわりあうふたり。やがて、それぞれに決断の時を迎える。愛に悩み、性に惑いながらもひたむきに生きる18歳の、等身大の青春像をみずみずしいタッチで描く長編小説。


10代の男女を書いたら村山由佳はすごいかも、というのが本書での印象です。不安定な部分が読み取れて前作より好感触でした。素直になれない二人の男女、悩みを共有し関係を深める。しかしその間には絶対恋愛は生まれない。今回の不満の点は二回続けて(ほぼ)同じオチか!ということ。今回は途中で発覚してそれが効果的になってはいますが、女性の切なさを表現するためにその手段を軽々しく使うのはいかがなものか。無責任に人を殺す推理小説と、根底は何も変わらない気がします。(ちょっと違うか? でも物語成立の必然性という意味ではミステリの方が命の価値が保たれている気がするぞ)。
ついていけない理由は設定にもあります。国際的指揮者の娘・有名カメラマン。死んでしまった兄とその婚約者、同性愛者の美少年のピアニストなどなど普通の登場人物が皆無。これでもか、と寄せ集められた訳ありの人々。人の切なさには特別なことはいらなくて、その感情の書きようだという気もするんですが…。作中、設定をそれなりに効果的に使っているとは思いますが、全部が作者の頭の中で作られた少女漫画のような人物設定だと冷めてしまった。

Bad kids   読了日:2003年09月13日