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粗忽拳銃 (集英社文庫)

粗忽拳銃 (集英社文庫)

入門5年目、いまだ前座の噺家・流々亭天馬。ひょんなことから拳銃を拾い、ふざけ半分で引き金を引くと、なんと実弾が飛び出した!この出来事が天馬と仲間たちの未来を変えていく。自主映画監督、売れない劇団員、見習いライター。それぞれの夢に向かって走りつづける若者たちを描く、爽快な青春ストーリー。第12回小説すばる新人賞受賞作品。


笑いあり、サスペンスあり、感動ありの大盤振る舞いのお話。この本が単行本デビュー作だというから驚き。後半の展開に文句がないわけではないんですが、怒涛の展開と内容で一気に読まされた。「落語小説といえば?」といえばコレ、みたいなこの作品ですが、冒頭でいきなり拳銃を発射させてしまって、この後、落語がどう関わってくるのか不思議だった。しかし読んでみると見事な組み合わせ。拳銃を発射してからの一連の経験と落語を関連させる構成が良かったです。しかも拳銃を巡る話が天馬の落語だけではなくて、時村の映画、広介の演技、可奈の人物レポまでも組み合わさって何倍も美味しい小説になっている。拳銃を中心に置きながらも、この4人の連帯感と焦燥感がとてもよく描かれているから、彼らの青春や友情の心地良い雰囲気が味わえる。「落語小説」として紹介されるように、落語の噺、そして落語界の描写がとても面白かったです。昇進制度や師匠や兄・弟弟子との関係がよく描かれていると思った。特に天馬の師匠の天光がいい味を出しています。出番は少ないし、傍若無人に書かれているんだけれども、いつも天馬の後ろ(前?)にいて、要所要所で支えてくれます。最後のアレは、この作品を爽やかな感動で締めてくれてます。粋ですねー。
ただ「銃ゲーム」の内容が掴みきれなかったのと、後半の騒動の目的がよく分からなかった。私の読み方の問題なのかもしれませんが、スリリングというよりドタバタしてるだけで面白さが伝わってこなかったのが残念でした。

粗忽拳銃そこつけんじゅう   読了日:2005年08月04日