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マークスの山(上) (講談社文庫)

マークスの山(上) (講談社文庫)

「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」―精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。

直木賞受賞&ミステリとしての評価も高いこの作品。10年ぐらい文庫版にならなかったというのは名作(正確にはベストセラー)の証拠の1つでしょう。世間の評判による文庫版(改訂されている)よりハードカバー版(原版)の方が面白いとのこと。でも私はこのシリーズ・作品にそこまでは思い入れがないので文庫版が「マ−クスの山」だということにします。正直、私にはあまり入り込めない部分がありました。とにかく長い、字が多い。マークスは最初から電波をとばしてるし、七係の人たちは合田くんをはじめ汗臭い人たちばっかり。人間味というよりも嫌なやつらにしか見えない…登場人物に好き嫌いの感情を持つというのは登場人物がしっかり描かれているということですね。一人一人の造形がここまでしっかりと描かれているのはすごいですね。家庭環境から持病まで。合田さんもただのいい人ではなく人間です。
推理小説・(狭義の)ミステリとしてより小説・(広義の)ミステリとして読んだ方がリアリティ溢れる筆力に富んだ作品として読めたのに。入り口を間違えたかもしれない。この風呂敷がどう畳まれるのか下巻次第です。

マークスの山マークスのやま   読了日:2003年03月15日