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φは壊れたね (講談社文庫)

φは壊れたね (講談社文庫)

おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで録画されていた。タイトルは『Φ(ファイ)は壊れたね』。D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。森ミステリィ、新シリーズいよいよ開幕!!


いよいよ読みました新シリーズ。一時期、登場人物の海月及介くんの「及」からQシリーズという噂もあったみたいですが、使われてないみたいです。この本にはS&Mシリーズの登場人物も出てくるので嬉しさ二乗。萌絵が先輩になりアドバイザ的な役割なのには成長したな、と時間の流れを感じます。国枝さんが思いの外、登場回数が多く嬉しい。キャラはそのまま。他の人では海月くんが一番ミステリ。加部谷さんは女性人気はないだろうな、と思う。Vシリーズの紫子さんみたいなスタンスかな。余談ですが、「海月(くらげ)」くんを、「うみづき」と誤読し、「Φ(ファイ)」をずっと「シータ」だと思ってた。本当に余談でしたね…。
物語には至ってストレートなミステリ。今までで一番ど真ん中かも、と思うほど。一冊目なのでシリーズの登場人物紹介がてらという可能性大。一連の流れのプロローグ的な役割ですかね。森博嗣作品なので、どんな仕掛けがあるのかとワクワク邪推してます。これまで通り、期待を裏切ってくれたらいいな。ただ、今回の「箱」に関してはぬるいと思った。皆にデータを正しく提供してこその謎でしょ。誰にでも忘却はあるけれども。私的に好きだったのは冒頭と各章の初めにあるウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」の引用。この言葉たちが物語の全てを語ってるような気がします。海月くんが読んでそうな本だ。森小説の(小説や章の)冒頭の引用は講談社の方が選んでるらしい。いいセンスだと毎回思う。今更ながら、森作品はミステリとか小説とかの気負いが無くて、思考・会話が自然で読みやすく、面白い。普通に人が喋ったらこんな感じだろう。ミステリは説明口調だったり、会話が硬くて現実感を希釈してるし、小説は言葉を選び過ぎだと思う事があるので。

Φは壊れたねファイはこわれたね   読了日:2005年01月24日