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パパとムスメの7日間 (幻冬舎文庫)

パパとムスメの7日間 (幻冬舎文庫)

いまどきの高校生・小梅と、冴えない会社員のパパ。ある日突然、二人の人格が入れ替わってしまったら? 「いつまで、こんなことが続くのだろう。(中略)あたしたちは二人揃って鏡に向かってお祈りした。明日の朝、目が覚めたら、お互いが元に戻っていますように」。ドキドキの青春あり、ハラハラの会社員人生あり。ハートウォーミングな家族愛を描いた笑いと涙のノンストップ・エンターテインメント長編。


古今東西で多く扱われている人格転移モノ。本書では書名の通り『パパとムスメ』の人格が『7日間』入れ替わってしまうという話。思春期の男女の入れ替わりなら性差が問題になるが、本書は性別による違いというよりも世代差や親と子の気持ちの違い、お互いの立場の違いが浮き彫りになってくる。30年ぶりに高校生活を送るパパ(しかも女子高生として!)と、ただでさえ父親を毛嫌いする年頃のムスメはお互いの環境で上手く立ち振る舞えるのか…? というストーリー。
女子高生の小梅風に言えば、フツーに面白い。小梅の甘酸っぱい恋愛部分に、新商品を開発する企画のビジネス小説の部分、加えてパパとムスメの入れ替わりの騒動。一粒で2度ばかりか、3度美味しい小説。特に入れ替わったパパが、ムスメの片想いの相手とデートする場面は、この設定のおかしさが活きている。デートを滅茶苦茶にしようと企てるパパと、監視するムスメ。ムスメのパパ操縦法はかなり笑えます。そしてパパの目論見は見事に失敗(成功?)してしまい…。
ただ、ハッキリ言って「Part 1」を読んだらラストまでの展開が分かってしまう。そして実際、その通りだった。この作品オリジナルの予想外の面白さが少なかったのが残念。唯一、違ったのは最後の狂気。アレは予想外。でも伏線が弱すぎて唐突の感も否めないけど…。もう一つ残念なのはサラリーマン女子高生となった小梅の活躍が遅すぎる点。いつかは企画を「うっちゃる」だろうとは思っていたが、あんな土壇場まで引っ張るとは思わなかった。予想通り事態は好転したが、あの場であの発言はありえない。もうちょっと前の段階(CMモデルの選定や商品パッケージ決定時)に小梅の現役女子高生としてのセンスが活かされるのかと思ってた。あんなんじゃ、場の空気を読めない中年じゃないか(笑)
女子高生の小梅が感じる会社という組織の不可解さは、現実社会の多くの組織でそうなのだろうけれど、何度も繰り返し主張されるのには辟易とした。これだと女子高生・小梅の口を借りた、ただの愚痴に成り果ててしまっている。
また、パパとムスメの人格が入れ替わるアクシデントも好ましくない。特に最初のアクシデントは嫌でもあの事故を連想してしまうし、ラストも軽妙に進んでいた物語に嫌な印象を残す。『転校生』パターンを踏襲するなら、それこそ神社の階段から転げ落ちるパロディでも、自転車走行中に頭をごっつんこしてしまう『ぼくの魔法使い』パターンでも良いのに…(個人的趣味)。キッカケは何でもいいのだから、多くの人に怪我をさせなくても…、と思った。

パパとムスメの7日間パパとムスメのなのかかん   読了日:2007年02月08日