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ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の混血にして、ヨーガと奇術の達人ヨギ ガンジー。シカゴではすりの実演、ロンドンではヨーガの教授、そして東京では医者を相手に催眠術の講義。心霊術、念力術、分身術、予言術…。意表をつく犯罪にヨーガの極意と妖しげな術で挑む正体不明の名探偵はちょっとエッチ。超能力かトリックか? 人生に退屈しているアナタへ贈る必笑・妖術講座!


本書の主人公・ヨギ ガンジーは全国各地を修行(観光(?))の旅をしながら巡り、旅先で次々と遭遇する事件を解決して歩く。その全国行脚の様はどこか『水戸黄門』っぽく、また対決相手が自称・超能力者なのは同じくテレビドラマの『トリック』を連想した。自称・超能力者たちが御大層な名前なのも一緒。詐欺の手口としては「ヨギ ガンジーの予言」の手法は現代でも通用しそう、と思うほど巧妙。
ただ20年以上も前の作品のせいか登場人物の行動や動機の単純さがちょっと時代がかってきている。トリックとしては現代にも通じるが、半分の短編の動機は「特殊な動機」ともいえるもので自分で推理できるようなものではない。
ヨギ ガンジーの「ちょっとエッチ」なキャラクタも後半、特に「蘭と幽霊」では「下品」の域に入ってしまった。奇抜なキャラクタは泡坂作品の魅力のはずだけど、ガンジー以下、登場人物の奇抜さになかなか馴染めなかった。

  • 「王たちの恵み<心霊術>」…地方都市の有力者が集まる会場に設置された募金箱。しかし、その中から現金が消失して…。ガンジーの心霊術も事件の真相も人の常識的な思い込みを利用したもの。一つは変態で、一つは正に慈善事業。
  • 「隼の贄<遠隔殺人術>」…宗教団体「黄金の隼会」の代表・不動丸は呪いによって人を殺すと宣言し、その人名を予言書として認めた…。うーん…、唯一にして最大の欠点があるから不可解性はゼロ。昨日の敵は、今日の弟子。
  • 「心魂平の怪光<念力術>」…手法は違えど2つの場所で鼠にまつわる事件に遭遇したガンジー、そしてUFO騒動の真相は…。伏線は張られているけど、社会的・現実的にこの手法はどうか。ミステリ的にも顔を顰めたくなる真相。うーん…。
  • 「ヨギ ガンジーの予言<予言術>」…次々に予言を的中する男が、その次に予言したのは我が家の危機だった…。真相は分かりやすいけど、それでも面白い。目前の不幸を全力で回避するのが人間というもの。予言のトリックも○。
  • 「帰りた銀杏<枯木術>」…神社から移植された銀杏は、伐採しようとする者を次々に呪い殺し、夜な夜な「帰りたい」と嘆くという…。これも「特殊な動機」過ぎて付いていけず。公共事業の裏に隠された陰謀が!と言われても…。
  • 釈尊と悪魔<読心術>」…旅芸人一座の中で近頃評判の女形・葵霧丸。だが私生活の彼の人格は冷酷な悪魔のようで…。短編ならではの構図の逆転が見事。彼の非道にも順序があったとは。旅芸人の設定とも合致して人情もある。
  • 「蘭と幽霊<分身術>」…超能力による植物の促成方法を伝授するという男は、その証明としてカメラに霊を映すという…。トリックとしては単純、エロティックとしては最低。超能力の証明=降霊というのは本来はおかしな図式だけれど、世間では超能力=よく分からない物でまとめられるから成立してしまうのだよby.京極堂

ヨギガンジーの妖術ヨギガンジーのようじゅつ   読了日:2007年09月17日