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しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ…。マジシャンでもある著者が、この文庫本で試みた驚くべき企てを、どうか未読の方には明かさないでください。


ヨギ ガンジーシリーズ第2弾にして初の長編作品。基本的な構成は短編集であった『前作』と同じで、ヨギ ガンジー一行が宗教団体に接触して、宗教団体の教義や彼らの見せる「奇跡」の正体を解き明かすという話。そして最後には決め台詞「お前たちのやっている事は全部すべて、まるっとスリっとゴリっとエブリシングお見通しだ!」と言う。…なんてことはまるでない。が、インチキ宗教を看破しながらも読者は本書で奇跡を目の当たりにし、神様に出逢う事になる。『この本が、世界に存在することに(by.角田光代)』感謝せずにはいられない、ある神様に…。
うわぁぁぁぁあ、度肝ヲ抜カレタ! そしてひたすらに感動。
神様の御心遣いにただただ心を打たれる思いである(うーん、表現が余りにも宗教がかってるかしら…)。実は読書前から数多の絶賛の声を見聞きしすぎて、天の邪鬼な私は「んな、バカな。100人が読んで100人驚くようなミステリがこの世にあるものか」と思っていた。そして読書。んな、バカな。100人が読んでひゃっ…うわぁぁぁぁあ、度肝ヲ抜カレタ! 奇跡を目撃してまんまと回心しました。
41字詰15行組み200ページ余りの「しあわせの書」は作中に登場する架空の宗教本の題名であるが本書そのものでもある。ラストの時空を超越する不思議な感覚といい、何重にも捩れた書籍である。しかし間違いがないのはミステリ好きにとって正に「しあわせの書」であるという事実。神様の職人気質、読者を驚かす、ただそれだけの為に労苦を惜しまないその情熱、その魂をこれでもかというほど見せつけられた。その精神にただただ平伏し、感動で涙するばかり。
他の点で感心したのは冒頭の場面。ガンジー先生のイタコの真似から、TVのインタビュー、「しあわせの書」との出会いをサラッと描きながらも、死者が復活したとの噂、行方不明者の情報もしっかりと盛り込む構成の巧さに感心した。これだけの情報量を200ページ余りにまとめるだけでも大変なのに、その上…。
ただ唯一にして最大の幻滅を感じたのは解説。ある意味で本書に最も相応しくない解説である。解説者も出版社・編集者も野暮天のKY(空気読めない)である。ハッキリ言って、これなら無い方が増しだ。私の所持本は平成7年5刷だけれど、最新版は解説どうなってるのだろうか。是非とも解説の改訂を。
実はこの感想文で「奇跡」を再現してみれるかもと考えましたが、やっぱり無理!!

しあわせの書  酩探偵ヨギガンジーの心霊術しあわせのしょ  めいたんていヨギガンジーのしんれいじゅつ   読了日:2007年11月24日