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海のある奈良に死す (双葉文庫)

海のある奈良に死す (双葉文庫)

「行ってくる。『海のある奈良』へ」推理作家・有栖川有栖にそう言い遺し、取材旅行に旅立った同業者の赤星楽が若狭湾で客死した。犯罪学者・火村英生と共に、彼の幻の小説を復元しようとした有栖の試みは、同時に事件の真相を暴くこととなる。数々の伏線と緻密なトリックで酔わせる傑作長編推理。


「海のある奈良」とはどこなのか、そして綺麗な表紙に興味を引かれて読んだものの、推理小説としては格別驚くこともなく平均点といった感じの出来だった。新本格から時代を遡ったかのようなトラベルミステリといった印象。また有栖川さん作品は『ダリの繭』などでも思ったのですが、周りの環境を作るのはうまいのですが(やたら引用が多かったり、影響を受けてたりしますが)それが作品全体に上手くマッチしてないんですよね。なんとなく別物に感じられる。推理全体に影響を与えるというよりも事件全体をぼやかす感じ。今回も多少関係していますが、全体をウロチョロという感じが否めない。今回はトラベルミステリとも言える作品。近畿地方近辺を捜査するんですが、一向にたどり着かない真相。火村先生はページ稼ぎに貢献しているのか(笑)
まぁシリーズモノの強みとしては、火村・アリス両氏を取り囲む人々、編集者の片桐さんなどお馴染みの人物が行動するのは嬉しい限りなんですがね。肝心の読後感が犯人当てのミステリとしても、小説作品としても余りよろしくない作品群というのが印象です。

海のある奈良に死すうみのあるならにしす   読了日:2001年11月04日