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朱色の研究 (角川文庫)

朱色の研究 (角川文庫)

"2年前の未解決殺人事件を、再調査してほしい。これが先生のゼミに入った本当の目的です"臨床犯罪学者・火村英生が、過去の体験から毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった―。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った。2人はその関係者宅に急行すると、そこには予告通り新たなる死体が…?!現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。


二部構成のお話。後半のトラベルミステリっぽい雰囲気は好きなのだけれど、どうも肝心のミステリの部分が弱い。謎への吸引力が弱い、そして明かされる真実も。どうしても「あぁそうなんだ」という単純な感想を抱いてしまう。動機も分かるような、分からないような。「朱色」=夕日に焦点を当てたのだったら、もっとサイコな事件でもよかった。題材は幻想的だったのにと思うと残念。素材を生かしきれなかったか、素材だけで勝負したのか。
それに二部構成の意味はあるのだろうか。話を長引かせるためとしか思えないところもない。予期せぬ犯人を作り出す為の装置だったのだろうけど、逆に読者(私)の今までの前フリはなんだったの?と思わせる効果しか生み出してないのではないか、とさえ思う。相変わらず、火村先生は「人を殺したいと思ったことがある」という考えに縛られ、悪夢を見るけど語らない。この謎も、いつまで引っ張るやら。私がアリスの年齢を追い越すのも、起こり得るかもしれない…。人気シリーズを完結するのも勇気だと思う。終わって欲しい、という意味ではなく、いつまでも続くもどかしさを消してほしいですね。

朱色の研究しゅいろのけんきゅう   読了日:2001年11月16日