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暗い宿 (角川文庫)

暗い宿 (角川文庫)

犯人当てゲーム“トロピカル・ミステリー・ナイト”に参加するため、南の島のリゾートホテルを訪れた臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖。ハイビスカスに彩られたロビー。人魚姫のようにさざめく女たち。抜けるように青い空と青い海。バカンス気分で、のんびり過ごしていた二人だったが、訳ありげな夫婦に出会って…(「ホテル・ラフレシア」)。廃業した民宿、冬の温泉旅館、都心の瀟洒な名門ホテル―。様々な“宿”で起こる難事件に火村&有栖川コンビが挑む。傑作ミステリ作品集。


様々な宿で発生する難解な事件、ということで今回は事件を調査するというよりも、本人たちが事件に巻き込まれるパターンが多いです。自由業のアリスの身軽さが災いを呼ぶ。アリスを旅館経営者のブラックリストに載せた方がいいでしょう。一室だけに現れる幽霊なんかよりも、余程タチが悪いですもん(笑) 今回は短篇の持ち味のキレも無く、地味な印象。突出した作品も無かったです。アリスたちがまだ34歳なのと、ブッチホンという面白い単語、火村の格闘戦など情報は色々ありますが、そんな情報はミステリの本筋とは関係がありません…。

  • 「暗い宿」…廃墟巡りの途中で風邪をこじらしたアリスは廃業した民宿に転がり込む。その一週間後、その民宿の床下から白骨死体が出た…。最初の展開が瀬尾まいこさんの『天国はまだ遠く』にそっくり!アリスが睡眠薬飲んだら笑ってしまっただろう。事件は地味ですよね。他に容疑者候補がいないですし。
  • 「ホテル・ラフレシア」…あらすじが難しい。ホテルの犯人当てゲームの企画のご意見番として招待されたアリスと編集者・片桐。なぜか同行する火村。彼らが過ごす南国の一日。劇中劇のトリックがメインなのか、出会った老夫婦がメインなのか、よく分からない。とにかく後味は最悪な作品。やるせない…
  • 「異形の客」…旅館の離れで扼殺された見覚えの無い男。その部屋の宿泊者は全身を隠すように覆った男だが、彼は散歩に出てきり行方がつかめない…。この本では一番長い短〜中編。論理やトリック、犯行の背景などは一番楽しかったのだが、新興宗教などの描写は必要なのか?犯人候補を増やす目的なのだろうが、なぜこんな過激組織を作り出したのだろうか。でき過ぎた客たちですよね。
  • 「201号室の災厄」…ホテルの部屋の前で火村が見てしまった部屋の中の死体。部屋の使用者・外国人ロックシンガーは自分は無実だと訴えるが…。う〜ん、何と言うのでしょう、逆転の推理? 確かにバリエーション的には面白いけど、私的には読んで損した!と憤慨の一篇。火村の独壇場という珍しい短篇ではある。

暗い宿くらいやど   読了日:2002年04月28日