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ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

月刊社内報の編集長に抜擢され、若竹七海の不完全燃焼ぎみなOL生活はどこへやら。慣れぬカメラ片手に創刊準備も怠りなく。そこへ「小説を載せろ」とのお達し。プロを頼む予算とてなく社内調達ままならず、大学時代の先輩に泣きついたところ、匿名作家を紹介される。かくして掲載された十二の物語が謎を呼ぶ、贅を凝らしたデビュー作。


何と言ってもタイトルが素晴らしい。シンプルながらインパクト大。一度聞いいたら忘れることのできないタイトル。それは出版から十数年経っても色褪せない。
うん、さすがは創元推理文庫。予想はしていたけれど、最後に大きな爆弾を落としてきた。若竹七海の推理は一瞬「アノ作品の結末とかぶってる!」と思い、落胆しかけたのですが、真相は違う所にあって一安心。真相を知ってからOL・若竹さんの推理を読むと、推理と妄想って本当に近いなぁと思った。
物語全体の仕掛けを読んでいる時に、細かい描写(伏線)でも結構覚えているものだなぁ、と自分で自分に感心した。この作品は「そういえば、そうだった」という線を上手く突いている。しかし私も、解説の逢坂剛さんと同じで、植物とお酒・紅茶・食べ物が伏線なのかと思っていた(ある意味では伏線ともいえなくはないけれど)。
十数年の時代の違いなのか、ちょっと文章が読みにくかった。特に女性の会話文。妙に無骨な会話をする人が多い。そして全体的に登場人物の行動に納得がいかない。ミステリ成立のための行動、という感じの無理な動きも目についた。

  • 「配達された三通の手紙」…社内報に匿名作家の短編が書かれるまでの経緯。
  • 「桜嫌い」…結構、丁寧に説明されているが私には建物の構造が上手くイメージ出来ず…。そもそもアノ人が犯人ならば、別の方法もあったのでは?
  • 「鬼」…この結末は面白いけれど、警察の捜査ってそんなに杜撰だろうか、とも思う。2編目にて、この短篇集は植物がキーワードか?と疑いにかかる。
  • 「あっという間に」…これぞ日常ミステリ、といった感じの平和な短編。暗号は面白いけれど、全ての設定が用意されているような感じも受ける。
  • 「箱の虫」…まさに幽霊の正体見たり…、といった短編。でも女子高生たちが妄執に囚われすぎてるような気もする。老人の言葉も不自然だなぁ…。
  • 「消滅する希望」…これは怪談に近くて、ミステリ要素が少ないなぁと思った。やっぱり植物がテーマの作品集なのかと一層強く思ったのだが…。
  • 「吉祥果夢」…前の話に雰囲気を同じにする作品。これも推理というより「ちょっと良い話」「ちょっと怖い話」といった感じだと思ったのだが…。
  • 「ラビット・ダンス・イン・オータム」…実は色々な箇所に伏線があって面白い。
  • 「写し絵の景色」…テーマは疑心暗鬼ですかね。最初から怪しいと思えば、その答えに向かって一直線に考えてしまうのが人間です。誰でも経験あります。
  • 「内気なクリスマス・ケーキ」…一番驚いた。あの行動を純情と取るか、呪術ととるかは受け手の感情次第だろうなぁ。私は嫌だなー、男らしくない。
  • 「お正月探偵」…話が二転三転して、緊張感に包まれた話だった。でも真相聞いてしまうと、行動に無理があるんですよねー。巻戻しは不可です。
  • 「バレンタイン・バレンタイン」…公衆電話が時代を感じる。だけど物語のきっかけとなる小道具。これも、そういう場合だったら…と思うんだけど。
  • 「吉凶春神籤」…リドルストーリーのような終わり方が良い余韻を残す。ただ、何回も思うけれど登場人物の行動がみんな回りくどい。現実的じゃない。
  • 「ちょっと長めの編集後記」…真相も面白いが、若竹七海の推論も面白い。若竹さんの推理で完全に納得した私でしたが…。最後の最後に明らかになるアノ疑惑への明確な解答が無くて残念(これも推理したら非常に面白かったのになぁ…)。
  • 「配達された最後の手紙」…全ての真意。ちょっと怖い終わり方が印象的。

ぼくのミステリな日常ぼくのミステリなにちじょう   読了日:2006年05月08日