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新・垂里冴子のお見合いと推理

新・垂里冴子のお見合いと推理

垂里家最大の懸案事項。それは長女・冴子の結婚問題!小説家を志し、毎日、原稿ばかり書いている冴子だが、周囲からは次々とお見合い話が舞い込む。それでも、やっぱり、お見合いするたびに事件に巻き込まれ、お相手そっちのけで謎を解くはめに!はてさて、今回の冴子のお見合いの成否は、そして事件の行く末は。


9年ぶりのシリーズ再開。館の再建や江神さん復活よりも嬉しい報せだったかも。前作で書いた祈りが通じたのかもしれません。やっぱり出版社には祈っとくもんですね。あとは西澤保彦さんの「匠千暁シリーズ」の再開の願いが通じれば…(後日談:通じた!)。
閑話休題。垂里一家とも約9年ぶりの再会ではあるが、作中の時間は流れておらず皆さん不老で、末っ子長男の京一くんは未だ浪人生の身空。なので今回は京一の目立った活躍はありません(残念…)。代わりに(?)、2編目ではスペシャルゲストが登場。また前作までと違い、お見合い相手が伯母の合子の紹介ではない事も特徴の一つ。1編目は親、そして2編目は妹の空美自らがお見合い相手を探し、そして冴子のお見合いに同席している。空美は相変わらずで、開口一番の『やっぱ、このウチは、あたしが締めるとこ締めないと駄目なんだ』は丸っきりTVドラマ「やっぱり猫が好き」の次女・レイ子のセリフで笑った(確か「猫」のレイ子もこんなセリフが言ってたはず)。そういえばレイ子も自称・女優の卵だよね(笑)
ミステリとしては犯人候補が少なく、それにより犯人の予想も付き易いが、犯人当てよりも謎解きにおける理詰めの思考、そして巧妙に張られた伏線に思わず唸らされる。基本的にコミカルな雰囲気で物語に動きがあるので読者を飽きさせない。また洒落の利いた文章に何度か吹き出してしまった。続編はいつでも制作可能な終わり方。私の願いはもう一度、出版社に通じるのだろうか…。

  • 「見合い相手は水も滴るいい○×△?」…父・一路が仲介したお見合いの相手は水族館の飼育係の男性だったはずが…。水族館で行われたセレモニーでの某王国のネックレス消失の謎。幾つか事件が発生するがメインは衆人環視での物体消失の謎。真相としては私も他作品で類似例を見るぐらいありがち。お見合い、そして舞台は水族館という平和的な出発点から陰惨な事件というギャップがこのシリーズ独自の味わい(?)。退屈そうだけど冴子の書いた小説読んでみたい。
  • 「神は寝ている猿」…妹・空美が選んだ今回のお見合い相手はアメリカ人私立探偵の東京茶夢。そう、『日本殺人事件』のトウキョー・サムだった! まさかのシリーズ共演。まさか、シリーズの主役同士の結婚!? が、探偵が2人集まればやっぱり事件に遭遇。メインの謎はダイイング・メッセージ(以下DM)。個人的にDMモノは苦手です。誤読・誤解に始まり、真相に達しても迂遠な方法としか思えず…。ただし事件の真相は二重三重に凝らされていて楽しめた。まさかの茶夢の登場は嬉しい反面、「あぁ彼の登場でこのシリーズにまで観念的な謎を持ち込まれたら嫌だな」と悪い予感を覚えた。しかしそれは杞憂で今回は日本文化に触れた外国人の行動というレベルで話は終わった。このラスト、作者は今回で茶夢シリーズに決着を付けたかったのではないかと勘繰ってしまうが…。

新・垂里冴子のお見合いと推理しん・すいりさえこのおみあいとすいり   読了日:2009年07月07日