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生ける屍の死 (創元推理文庫)

生ける屍の死 (創元推理文庫)

ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った。この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか。自らも死者となったことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、肉体が崩壊するまでに真相を手に入れることができるか。


死者が甦る中でのミステリ!そんなものが矛盾なく世の中に存在するはずないと思ってましたが、ありました。私の私的分類ジャンルとしては初期の「西澤保彦」さん作品全般や森博嗣さんの『女王の百年密室』のような、自ら決めたルールの中で起こる事件の矛盾なき解決、というジャンル(?)ではないでしょうか。
舞台がアメリカで、私の嫌いな外国人名、そしてアメリカ流の言い回し、そして分厚い本。多少ハードルは高かったですが事件が起こり始めるころにはすんなりと読めました。しかし主人公が殺されて、その後甦り事件を解決するなんて、この世でこの本だけでしょう。最初は訳の分からなかった主人公・グリンもその相棒チェシャもだんだん好きになってきました。死んでも甦る死者を、なぜ殺さなければならないのか、という非常に興味深い謎を、その場所でそのルールの中で解決していくのはすばらしかった。ルールがしっかりしてるので難解な事件にきちんとしたラインが見えるのはやはり痛快です。ラストシーンはしんみり切ないです。

生ける屍の死いけるしかばねのし   読了日:2003年05月06日