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地球儀のスライス A SLICE OF TERRESTRIAL GLOBE (講談社文庫)

地球儀のスライス A SLICE OF TERRESTRIAL GLOBE (講談社文庫)

犀川・萌絵。2人のその後。噂の新シリーズキャラクター。ぎっしり詰まった1冊! 「黒窓の会」それは、那古野市きっての資産家の令嬢、西之園萌絵を囲んで開催される秘密の勉強会である。ゲストとして招待されたN大学工学部助教授、犀川創平は、1枚の写真にまつわるミステリィを披露する。それは、インドの石塔の遺跡に関する奇妙な謎であった。(「石塔の屋根飾り」)森ミステリィのあらゆる魅力が、一杯につまった珠玉集。


森さん=ミステリのイメージで読むと多少ガッカリしますし、読んでいて消化不良な作品もあります。が、バラエティにあふれる贅沢な作品群。森さんはこんなのも書くのか、と新発見。ショートショート風の作品や漫画にすれば面白そうなものがありますね。やっぱり目玉となるのは、終わってしまった「S&Mシリーズ」の短篇と、「新シリーズ」のプレリュードとなる短篇でしょう。殺人の起こらないS&Mワールドは純粋に楽しめます。睦子さん・喜多先生など脇役の方々も登場され、行動・発言を楽しめます。新シリーズの方では、やっぱり短篇1つで出来上がっているキャラクタを見せてくれた練無くんに注目でしょう。Vシリーズへの期待が高まります。本文イラストレーションは奥様のささきすばる氏。夫婦で稼ぎますね。

  • 「小鳥の恩返し」…父親の殺害現場にいた小鳥。その小鳥を飼うが、数年後逃げてしまう。が、その数年後、自分は人の姿に化けたその小鳥だという女性が現れ…森さんの短篇ってショートショートの様な不穏な空気。
  • 「片方のピアス」…双子の兄弟を見分けるのはピアスの位置の違いだけ…火事で死んだのは兄か弟か?名前がややこしい。カタカナなので更に混乱。なんだか寓話を読まされている気分。あなたはどちらだと思いますか、って。
  • 「素敵な日記」…日記をつけると、つけた人間が必ず翌日に死んでいる。次々と出る被害者。一体何が起こった?これは叙述トリックかな?というより世にも奇妙な物語風な話。読んだ後に妙に不安になるのが森さん短篇の特徴?
  • 「僕に似た人」…引越し先の近所に住む「まぁ君」は誰かに似ている。でも誰に似ているのか…初読時は訳が分からない、なんじゃこりゃと思った作品。しかし三年余り経て深遠な要素が含まれていると知ったら、好き☆
  • 「石塔の屋根飾り」…これは↑のあらすじの通り。西之園家で開かれる「黒窓の会」は「黒後家蜘蛛の会」のパロディらしい。それぞれが織り成す推理・純然たるな論理とキレイなオチ、素晴らしい短篇。S&Mシリーズだからかも(汗)
  • マン島の蒸気鉄道」…マン島に集合した西之園家と犀川ら同級生3人。そこで提示される2つの鉄道の謎。1つの謎は解明されません。色々手を尽くしたのですが明確な解答は得られず。なんとなく手応えはあったのでいいか…
  • 「有限要素魔術」…私の目の前でライフルで自分の頭を撃った彼…彼は生と死の間に何を見るのか?理解不能。最後の夢ってことで。それより私の所持するノベルス第一刷では目次では「〜魔術」、本文では「〜魔法」になってる奇怪さ。
  • 「河童」…大学時代、僕といなくなった友・彼を思う少女。夢現で聞いた彼の声、彼は池の底にいるのだろうか…題材の影響か、森さんにしては幻想的で日本的恐怖を起こさせる作品。後ろ振り向いたりしちゃったり…
  • 「気さくなお人形、19歳」…突然、纐纈氏の使いの者に連行された練無。纐纈氏は練無と喋ることを望んだ。新シリーズの登場人物・小鳥遊練無くんの話。初回からフルスロットルの練無くん。読み返せばそれだけ切なさが増します。
  • 「僕は秋子に借りがある」…大学の食堂で会った、魅力的な女性・秋子。彼女は僕を振り回す。最初はラブストーリーかなと思ったら違いました。突然現れて、生きる事を後押ししてくれた人、大きな借りですね。返せればいいけど。

地球儀のスライスちきゅうぎのスライス   読了日:2001年12月02日